TOPECEC活用は沖縄が向いている?アルプロンラボによる事業展開とは
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EC活用は沖縄が向いている?アルプロンラボによる事業展開とは

2016年08月19日

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パーソナルトレーニング、低糖質ダイエットetc‥今日の現代社会において、「カラダ」への関心が高まりつつある。「アルプロンラボ」の取り扱う商品は良質のプロテインや美容・健康サプリなどアスリート含め、ユーザーからの厚い支持を得ており、実は沖縄にある企業だという。同代表の多根和宏氏にお話をお聞きした。

 

Eコマース、Webブランディングの拠点は沖縄。

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インタビュアー 田場(以下:田場)
 
では、よろしくお願いいたします。
まず最初に会社についてお聞きしたいんですが、御社(アルプロンラボ)はアルプロングループの子会社になりますか?

 
多根 和宏(以下:多根)
いえ、子会社ではなくて独立会社で、EコマースとWEBプロモーションの方を担当していますね。


田場

なるほど、今の沖縄での事業の軸は、ECとWEBプロモーションですか?

 
多根
ブランディングもやっています。プロモーション用WEBサイトや、店舗販売プロモーションアイテム、コンテンツとか色々作っていますし、県内で活躍されているデザイナーやプロモーターとも契約して、製作やスタッフ教育をしています。

 
田場
商品販売についてはネットショップのみになりますか?

 
多根
いえ、リアル店舗もあります。全国展開しているのはドンキホーテ様とかスーパースポーツゼビオ様、大手フィットネスチェーン様とか、東急ハンズ様とかビレッジバンガード様など、店舗販売も多いですし、WEB販売やSNSとの連動などで、いろいろとお客さんを引き込んでいますね。

 
田場
様々な取り組みをされているんですね。
続いては商品について。アルプロンさんは、ずっとプロテインを作っていたのですか?

 
多根
いえ、もともとは健康食品素材を作っていましたが、健康志向も高まったという事もあり、市場がマッチしました。いわゆるフィットネスとかヘルスケア産業はアメリカなどの先進国をみると今後も伸びていきますし、それに付随する周辺産業などに進出する予定です。

 
田場
周辺産業というと、具体的にはどういう事でしょうか?

 
多根
イベント企画やスタジオ運営、健康管理のアプリケーションを企画したりする事などですね。現在、動員数が国内最大級のコンテスト、ベストボディジャパンというコンテスト(いわゆる年齢別の男女のカラダ作りのコンテスト)があるのですが、立ち上げ当初から関わらせて頂いています。とにかくヘルスケアという事に関わるお客様のTPOSをとらえた業態の変化させる事ですね。

 
田場
そうなんですね!
ところで、多根さんは、ご出身はどちらですか?

 
多根
私は島根県出身です。沖縄も結局そうですけど、県外からお金を引っ張ってくる方法、外貨獲得も考えないといけないですよね?観光資源とかITのインフラとか、沖縄に限らず、他県でも力を入れているんですよ。

 
田場
そうですね、中の産業を育てつつ、いかに外からお客を引き込むかは重要ですね。ちなみに、なぜ沖縄にアルプロンラボを設立したかを教えていただけますか?

 
多根
立地的に見ると、沖縄はアジア圏への足がかり的な位置として考えていますし、越境通販をはじめ、物流の拠点とかを、いずれは沖縄で出来ればと思っています。今現在は台湾、中国への進出を積極的に行っています。

 
田場
(アルプランラボのWEBサイトを拝見して)プロテインが主力商品だと思っていましたが、ネットショップの商品でいうと、何が主軸なのですか?

 
多根
栄養補助食品全般ですね。現在の顧客の皆様にマッチするのであれば、他社商品も販売してます。

現在育成中の事業としては、「遺伝子解析」に力を入れています。ユーザーの遺伝子を解析して、その人に一番あった(最適化)商品を提供する、フィットネス業界に注目されています。

 
田場
遺伝子解析って、具体的にどうやるのですか?

 
多根
遺伝解析キットというのがありまして、口裏の粘膜を採取する事で解析が出来ます。実は遺伝子解析を行っている関連会社が福岡にあるんですね。その解析キットは中国語にも翻訳されていて、中国のクルーズ船の中でも販売しています。遺伝子解析は次なる産業として期待しています。

 
田場
確かに、自分の体の特性って、自分で把握出来ないですよね?主治医とか専属トレーナーがいたとしても、そこまで把握するのは難しいですよね。

 
多根
遺伝子解析は商品として拡張性があって、「うつ」の予防にも活かせるんですよ。よく「日本は幸福度が低い」といわれているじゃないですか。13人に1人はうつ病、もしくは予備軍といわれ、これはどう考えても高い傾向です。

これに対して遺伝子解析により「うつになり易い」とか「うつになり難い」と判断出来ますので、これをベースにあらかじめ対策方法を考えるなど、様々な応用で社会に貢献出来る産業となるのではないかと考えています。

 
田場
製造会社も遺伝子解析の会社も関連会社にあるということで、事業が多岐にわたっていますね。

 
多根
まあ、Eコマースの世界は商品販売だけでは無く、サービスも提供出来ますので、形のないものを売るのも楽しいですし、それに関連した商品、サービスもたくさん作れるなと。

 

薬学部出身のCEOの素顔に迫る。

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田場
沖縄のアルプロンラボは今、立ち上げてどれくらいですか?

 
多根
私が立ち上げて5年間ですね。私が経営者としてのキャリアを始めたのが約10年前でして、その前は薬関係の会社にいました。薬剤師の免許も持っています。

 
田場
薬学部出身とは意外ですね!普通、薬学部出身ということであれば、製薬会社や薬剤師として薬局とかに勤めるのではないかと思ってしまいますが、薬学部出身で経営者とは、経歴としては異色ですね!

 
多根
大学では癌の研究とかやっていました。研究とかも好きでして、「こうだから、こう」とか辻褄が合わないと嫌なので、わりと理屈っぽい性格のようです(笑)ビジネスについても同じ事で、帰納法的要素が強いと思います。まだまだ小さな会社ですので、ビッグビジネスまでは出来ませんが、いずれVRなどの分野などに関わる事が出来れば面白いなと考えてます。

 
田場
私は大学で起業家教育に携わっているのですが、「こうだから、こうなる」という、研究・実験のように、仮説検証の手法を起業家教育に取り込めないかと考えていまして。少し前までは「企画を考える」とか「マーケットを分析する」というのは、どちらかというと文系出身者のイメージが強かったです。今でこそビジネスを組み立てるのは、研究とか分析に強い方も相性いいかなと思っています。

 
多根
そうですね。いまでは大手企業とかトップ(経営者)に理系出身者が増えましたよね。

 
田場
確かに、ベンチャー企業の創業者も理系出身者が増えましたよね。従来のマーケティングでは、どんな商品が売れるかを考えるときに、過去のデータを分析して予測する手法が多かったですね。

しかし現在は販売予測が難しく、競合も多い時代なので、「こういう商品やサービスを世に出したい」と考えた時に、過去の統計や分析よりも、「こうだからこうなる」と仮説検証していく手法が有効だと思います。

 
多根
そういう商品作りを、是非、沖縄県のベンチャーファンドなどに取り入れて欲しいですね!沖縄は起業する人も全国一ですが廃業する人も全国一ですから。起業の勢いに学びをプラスすると継続生存も可能だと思います。

 
田場
ちょうど今、起業家教育のプロセスに科学的アプローチを取り込むことが出来ないかと動いています。

 
多根
それは面白いですね!ちなみに私は過去に店舗開発をやったり、マーケティングに関するも勉強していまして、いわゆる資本主義の中の「こうだからこう」っていう原理原則が決まってるんですよ。

例えば、「飲食店の駐車場は席数×0.6なければならない」とか「商品サービスの価格はこのようにして決まる」とか、全て科学なんですよ。極端な言い方ですが、事業を適当にやっていては継続する事が出来ないと思います。会社だって生き物ですから生存しないと何の意味も有りませんよね。そもそも生存してないという事は、税金もおさめてない訳ですから国にも貢献出来ていませんし、そもそも継続出来てないビジネスという事はお客様に指示されていないという事ですから、世の中には不必要という事になりますよね‥

企業の生存率が設立10年の場合6%、設立20年の場合は0.3%と言われていますので、今後は欧米のように中小企業は生存出来なくなるかもしれません。消えてしまわないように常に学ばなければなりませんね。

 
田場
常に学ばないといけませんね。

 
多根
店舗出店の立地原則とかもあってですね、大型の量販店などはノウハウを取り入れています。似たような業態店って、割とそれぞれの近くにあったりするじゃないですか?大手はきちんとした学びのもと政策を決めています。

 
田場
そうですよね、商売というのは、店作りとか接客方法も重要ですが、そもそもお客様が来てくれそうな場所(店舗立地)はそういう原理原則のベースがあったうえで成り立つものですよね。

 
多根
原理原則を学んだ上で修正しつつ、どうやって楽にシンプルにビジネスを回していくことを考えないといけないですよね。

 
田場
色々と話し込んでしまいましたが‥最後に、多根さんの今後の目標を教えていただけますか?

 
多根
3年区切りのスパンで考えていて、当面の目標がクリアできてからその次を考えようとは思っています。長期的に計画を立てても、3年後の目標がクリアできていないかも知れないし、その時に必要とされる場所に行ければいいと思っています。また、世の中に必要とされる、貢献出来る人間でもありたいですね。誰かの役に立つ事を常に考えて行動すると、必ず良い方に舵がきれるのではないかと思います。

 
田場
柔軟な考えなんですね。

 
多根
会社の経営者に興味があるというよりは、好きなことやダイナミックな仕事が出来ればいいなと思うんですよ。もちろんそれなりの報酬は必要不可欠ですが(笑)好きな事ができれば経営者でも経営者じゃなくてもいいし、僕より経営能力があって、会社の規模を大きくする人が出てきたら、その人に任せてもいいかなと。

 
田場
そうですよね、経営ってそういう考えでもいいと思います。本来、資本家と経営者は別ですし。

 
多根
年齢を重ねるにつれ、人を育てるのが楽しいかなと思っています。それで、様々なセミナーなどで交流をもった学生との会話を楽しんだり、常にアンテナを貼って、いろんな事を知って欲しいなと思っています。ネット通信環境が整い、情報伝達スピードが上がったといっても、特に沖縄の中で生活してると人間の交流が少ないので、そのような場、人と人を繋ぐ場を提供出来れば面白いかなとも思っています。

 
田場
本日はどうもありがとうございました。多根さんのお話は、意外性が多く色々と興味深かったです。別の機会があれば是非お聞かせください。

 
多根
ありがとうございました。

 

◎プロフィール
多根 和宏(たね かずひろ)
島根県出身
アルプロンラボ代表取締役
金沢大学 薬学部卒業

◎詳細 
・公式サイト:http://top-athlete.jp/ 
Facebookページ:https://www.facebook.com/alpronlabo/

 

インタビュー:田場誠
文:仲間公彦

編集部 - 2016/08/19