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年々増加する沖縄リゾートウエディング!オリジナルドレスのデザイナー兼経営者を志した若き女性の挑戦

2016年09月30日

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年々、沖縄でウエディングを挙げる県外及び海外に在住する新郎新婦が増加している。沖縄県の発表平成28年沖縄リゾートウェディング統計調査結果(1月~6月))によると、特に海外の増加比率が高く、香港・台湾で全体の 88%を占めるという。リゾートウエディング顧客の県内消費額は少なくとも約104億円と推計され、県では国内外に発信する有力な観光ブランドの一つとして沖縄リゾートウエディングの誘致を促進している。こうした状況下で、中国留学で東洋文化を学んだ後、オリジナルドレスを展開する女性がいる。経営者、モデルとしても活躍するST WEDDING(エスティー ウエディング)代表取締役兼チーフドレスデザイナー 高本 小百合(たかもと さゆり)さんにお話をお聞きした。

 

若い内に自分のバックグラウンドについて学び、アイデンティティを固めておくこと

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17歳の時、国境を越えて活躍出来るドレスデザイナーになろうと決めた。元々ファッションやアートに興味があり、高校からファッションデザイン科を専攻。海外にも興味があったため、いずれ留学しようと決めていた。当時から、将来ドレスブランドを立ち上げて世界で活躍するにはアイデンティティをしっかり持つ事が大切だと感じ、「日本人」としてのバックグラウンドについて考えていた高本さん。「多くの日本文化のルーツは東洋文化にあり、東洋文化の原点こそ中国にあることから、留学先は中国に決めました。歴史の長い国ですし、特に唐の時代の文化は本当に素晴らしい。元々東洋文化にはとても惹かれるものがあったので、あまり迷いはありませんでした」と過去を振り返る。”若い内に自分のバックグラウンドについて学び、アイデンティティを固めておくこと”が、将来的にドレスのデザイン、またブランドに深みを出す際に必要になると確信していた。

 

高校卒業後、19歳の時に上海の東華大学/芸術・服装設計学科(アート・ファッションデザイン学科)に入学。4年間は本科生として中国人学生とともにファッションデザインからパターン、立体裁断、縫製、工芸、テキスタイル、歴史、広告、マーケティング、マネージメント、CAD、グラフィックデザインなどファッションに関係してくるさまざまなことを学んだ。授業は全て中国語。日本人は高本さんだけであったが、すぐに馴染んだ。

 

在学中は研修旅行でクラスメイトと中国大陸内の多くの省を回った。ある時は貴州省へミャオ族など少数民族の伝統工芸を学びに行き、まだ世に出ていないような銀細工や刺繍、染色技術など素晴らしい物を目の当たりにし、改めて東洋文化の宝石に触れたような気分を味わった。その後、同学科初の日本人卒業生として4年間の留学生活を終えた。

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「卒業後は上海でアパレルデザイナーやインナーデザイナーを経験しました。しかし、企業に雇用されたデザイナーというよりは、経営者として事業を立ち上げた方が、より思い描いたビジネスが実現できるかと思い、デザイナー兼経営者を志しました。独立したデザイナーは、服をデザインするだけでなく、事業もデザインできなければいけないので…」と話す高本さん。上海にいた頃、沖縄というアジアの中心にあるアクセス条件、観光客数の増加など考えた結果、沖縄リゾートウエディングが今後必ず伸びると思い帰国。自己のアイデンティティを確立した場所から巣立ち、次のフィールドを母国に移した。

 

帰国後は国内大手ウエディングドレスメーカー企業のリゾートウエディングを事業とするグループ会社に就職。東アジアマーケット担当として活躍したのち、2015年12月に退職。翌月2016年1月にST WEDDINGを立ち上げる。その翌月2月にコンベンションビューローの香港ウエディングエキスポに出展し、本格的に事業を開始する。

 

販路確保は本当に大変で、ビジネスに繋がらないこともたくさんあった

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ST WEDDINGには2つの強みがある。一つ目は「オリジナルデザインのドレスで差別化を図りアピール出来ること」である。「自分のバックグラウンドを見直し、アイデンティティを固めるために上海に渡りましたが、周りには正解だったとよく言われます。アイデンティティは確立されましたし、それがドレスに反映されています。現在、ST WEDDINGから新たにドレスブランドを立ち上げる準備をしています。すでにドレスは完成しており、より明確に反映された出来栄えになっています」と話す高本さん。起業後の一年間で培ってきたロケーションフォトの経験や実績。それらを踏まえて、沖縄の美しくて多種多様なロケーションに映える、沖縄で女性が一番輝くドレスを目指してきた。今後は国内・海外の幸せなカップルへ「ST WEDDINGが考える沖縄リゾートウエディング」を提案していく。

 

 二つ目は「インバウンドマーケットにおける販路を確保していること」である。「販路確保は本当に大変で、繋がらないビジネスもたくさんありました」と話す高本さん。インバウンドでの販路確保については、脈がありそうなところは、とにかくがむしゃらにアタックした。「友人知人に取引先を紹介してもらったり、現地ウエディングフェアで繋がったり、名刺と資料を持って現地のウエディングプロデュース会に飛び込み営業もしました。必死でした」と当時を振り返る。また香港、台湾、中国大陸でも言葉の言い回しが若干違うので、そこも気をつけていたと話す。

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新郎新婦の前撮り撮影が終わってから、帰国後に口コミで広めてもらったりと、そこから申込みを頂くことも多い。「香港、台湾にはよく出張に行きますが、最初の頃はとにかく街を歩いて、街や人の雰囲気を感じようとしました。これが商品造成のヒントに繋がったりするんです。販路確保も大切ですが、受け入れ体制が整っていなかったり、商品に魅力がないと営業が水の泡になってしまうので、どちらもベストであるようにバランスを見ています」と高本さん。今は共に頑張り、支え合える取引先と、共にサービスを提供するビジネスパートナーを得て、数字で結果がついてきた。「中華圏はマーケットが大きいので、引き続き取り込みたい。常にチャンスは求めています」と意気込む。

 

海外の新郎新婦と日本の新郎新婦との違い

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「海外からのお客様ですと、一番多いのは香港人カップルなのですが、趣向の違いでよく感じるのはやはりウエディングロケーションフォト(前撮り写真)におけるテイストですね」と話す高本さん。ただ最近は、テイストにおける趣向の違いが以前よりもなくなってきているという。以前は強くレタッチ加工したドラマティックな写真を好まれていたが、最近は自然なテイストを好む新郎新婦も増えた。

 

「逆に日本のお客様は、ドラマティックでレタッチ加工をしたものもウエディングフォトのテイストにおける選択肢のひとつとして「あり」のようです。最近は特にインスタグラムなどの普及で前撮りお写真を積極的にアップされる方も大変多く、爽やかなリゾートテイストだったり、ポップだったり、フェミニンだったり、ドラマティックだったり、、、様々なテイストのお写真があり、参考にされているようです」と高本さん。

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それ以外は、趣向の違いは無いように感じるという。「何よりも、どの国のお客様も皆、共通して求めているのは心のこもったサービス。一生懸命な姿勢は必ず通じますので、常に全力でサービスを提供するよう尽くしています」と高本さん。常に顧客の立場になり、最高のパフォーマンスを演出する彼女は、華奢な身体からどこにそんなエネルギーがあるのかと思うほど、いつだってパワフルだ。

 

かの琉球王国の交易時代のように。それがインバウンドビジネス。

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県が発表した統計調査によると、今後も沖縄リゾートウエディングにおけるインバウンド組数は伸びると予想されている。それに伴いリーガルウエディングを希望されるカップルも増えるだろう。「スムーズに手続を行うよう行政と密に連携をとり準備を万全にすることと、業者としては何かサービスとして付加価値を提供できたらなと思います。どのようなサービスを提供できるか今はまだ考案中なのですが…」と話す高本さん。リゾートウエディングにおける課題はまだまだありそうだ。

 

今後の展開としては、事業の拡大を目指し、より多くの社会的信用を得るために法人化を予定している。本格的に開始するドレスブランドにおいては、エンドユーザーへの販売・レンタルはもちろん、衣裳提携などでB to Bビジネスも視野に入れている。新作も定期的に発表していく予定。さらに日本国内マーケットにも進出し、多くの花嫁に喜んでもらえるよう、クリエイション(ものづくり)に焦点をあてていく。それがインバウンドビジネスでも必ず良い影響を及ぼすと信じているからだ。 

 

「インバウンドビジネスを行っていますと、かの琉球王国の交易時代が、現代の沖縄リゾートウエディングという枠で再び繰り広げられているように感じます。沖縄は昔もアジア貿易の交差点でしたからね。この時代に事業をさせて頂いていることを、心から光栄に思います」と高本さん。幼き頃から、自分のバックグラウンドについて学び、アイデンティティを固めてきた高本さん。自己を見つめ続けた若き女性起業家は、今ではもう遠い海の向こう側を見据えている。

img_0517自ら自社モデルとしても活躍する高本さん 

 

 

◎プロフィール
高本 小百合(たかもと さゆり)
ST WEDDING代表取締役兼チーフドレスデザイナー
大分県別府市出身
沖縄県豊見城市在住
上海 東華大学/アート・ファッションデザイン学科卒業

ST WEDDINGとは:「日本国内No.1リゾート地 沖縄から、感動をアジアの全てのカップルへ。」をコンセプトに、フォトジェニックなクチュールドレスと共に1ランク上の上質なウエディングフォトを提案している。

 

◎詳細
・公式サイト:https://st-wedding-japan.jp/
・Facebookページ:https://www.facebook.com/stdress/?fref=ts

編集部 - 2016/09/30