【三代目池田屋のその後】LINE@やあちこーこー豆腐のサブスクスタート!飲食店の展開も?!
2024年08月27日
Tweet琉球ジャーナルが過去に取材した方を、後追い取材する「その後」シリーズ。
今回は、”豆腐の池田屋”でおなじみの三代目池田屋(有限会社池田食品)社長・瑞慶覧 宏至(ずけらん ひろし)さんのもとを訪れた。
2020年に取材した過去記事はこちら
https://journal.ryukyu/eat/2401
当時、三代目を受け継いだ後、池田食品の豆腐のリブランディングを目標に掲げていた瑞慶覧さん。量販店からの一時的な徹底や、移動販売の強化、原材料の見直しなどを行っていた。
さらに当時はコロナ禍真っ只中。そこで非対面でも新鮮な豆腐が食べられる「豆腐のサブスク」として、置き配システムを導入したばかりだった。
リブランディングはその後成功したのか、そしてサブスクは現在どうなっているのか。気になる「その後」を伺った。
リブランド成功!1パック500円の豆腐が売れる理由
三好 ご無沙汰しております。あの、見た目が前回とめちゃくちゃ変わってて驚いてます(笑)!めっちゃ髭伸びましたよね。服装も…。
瑞慶覧さん これでも髭、短くなった方なんですよ(笑)。「日本一豆腐屋に見えない豆腐屋」になろうと思いまして。元美容師なので、実は豆腐屋を継ぐ前はこんな感じだったんです。豆腐屋を継いでからは、TPOを考えて落ち着いた雰囲気にしてたんですけどね。もういいかなって(笑)。
三好 たしかに美容師にしか見えないです。前回のお写真を記事に貼っておきますね(笑)。
2020年取材時の瑞慶覧さん。別人のようです。
三好 では改めて、前回の取材の振り返りからさせてください。前回、リブランディングのため、スーパーから一時撤退されていましたが、今も撤退中ですか?
瑞慶覧さん 今は量販店に卸してますよ。取材いただいた当時は、他社との価格争いを避けるために一時的に撤退し、その間にブランディングをする、という段階でした。ブランディングが成功したので、今はサンエーさんやコープさん、うるまるシェなど、自分たちの色に合うところに卸しています。
三好 ブランディング成功されたんですね!狙い通り、価格争いせずにスーパーで販売できているんですか?
瑞慶覧さん そうですね。下げろと言われたことはありません。原材料の高騰もあって、毎年値上げしていますが、売上は変わっていないですね。逆に、例年比でいうと量販売上が20~40%くらい上がってるのかな。今、卸してる量販店の中では、うちの豆腐が一番高いかもしれない。1パック450円~500円くらいするんですよ。
三好 1パック500円!質の良さが伝わり、指名買いされるお客様が増えたということでしょうか。
瑞慶覧さん そうですね。バイヤーさんからは稀って言われます。値上げして売り上げが伸びる商品ってあんまりないみたいで。
三好 ブランディングは、具体的にどんなことをされたんですか?
瑞慶覧さん 前回の取材でお話したサブスク、移動販売に加え、去年の4月ごろにLINE@をリリースしました。LINE@では、お客さんの配達エリアに訪れる30分前に通知が来たり、レシピ検索ができるサービスを使っていただけます。
三好 レシピ検索ですか。
瑞慶覧さん ChatGPT4を使った仕組みなんですが、豆腐と冷蔵庫にある食材を入力したら、AIがレシピを提案してくれるんですよ。複数の食材を入力できるし、グミとか入れてもOK(笑)。LINE@は1年で1500人登録者が集まったので、これもブランディングに一躍買っていると思います。
HACCP対策にサブスク!あちこーこーの置き配を開始
三好 コロナ禍で始められたサブスク(一般家庭に週に1度、注文を受けた池田屋の商品を届けるサービス)は引き続き継続されていますか?
瑞慶覧さん してます。コロナ後も解約はあまり出ず、今は60件くらい登録があるのかな。この仕組みを使って、今年の2月からあちこーこー(あつあつ)豆腐を届けるサービスもはじめました。
三好 あちこーこー!HACCP(ハサップ)対策でしょうか。
瑞慶覧さん そうです。2021年にHACCPが義務化されたので、店頭での販売は3時間以内で、温度は55度以下に保ってくださいというルールができました。だからスーパーであちこーこー豆腐が買えなくなった。そこで僕たちは、サブスクで毎週あちこーこー豆腐を届けるサービスを始めたんです。
三好 たしかに自宅に届けるスタイルなら、HACCPの条件をクリアしますね。どんな仕組みで行っているんでしょうか。
瑞慶覧さん 普通のクーラーボックスにバンド巻いて、できたての豆腐と保温材を入れて、3時間以内に受けとりしてくださいという形で置き配しています。配達はいつも移動販売カーが県内各地を走り回っているので、配達エリアの範囲内でやらせてもらってる感じですね。
三好 なるほど。移動販売カーを活用した取り組みなんですね。HACCPは業界全体にはどのような影響を与えていますか?
瑞慶覧さん 業界としてはだいぶ痛手ですよね。廃業したところも結構あるみたいです。そもそも新規参入がない業界ですし、後継者がいない、事業承継がうまくいかないなど、残したくても残せない会社も多いんです。原材料の高騰もすごい勢いだし。だからHACCPをきっかけに、このタイミングでやめようかなって思った会社は多いんだと思います。
三好 なるほど。決断のきっかけに。
瑞慶覧さん 豆腐屋は今、全国的にすごいシュリンク業界で、元々は5万件あったのが今5000件切ってるみたいです。
三好 そんなに…!
瑞慶覧さん 大変ですよ。まだ。沖縄は離島だし、島豆腐と木綿が県外から入ってこないので、県外に比べると続けやすいとは思うんですが、それでもやっぱり厳しいですよね。
今後は大豆の可能性を探りつつ、飲食店の展開も
三好 最後に、今後やりたいことや考えていることがあれば、教えてください!
瑞慶覧さん 今、ドッグランカフェを計画中です。弊社が運営するカフェ「ソイラボ」の屋上がかなり広いので、そこを使ってやろうかなと。自分の犬を遊ばせたいからなんですけどね(笑)。
三好 ドッグラン!いいですね。
瑞慶覧さん そうそう。コロナ禍で犬を飼いはじめた人が増えたらしいから。犬を遊ばせつつ、豆腐やおからを使ったドッグフードも販売できるといいなと思って、開発を考えています。おからは産業廃棄物なので、可能性があるなら活用したい。豆腐の汁を使った化粧品なんかも考えてたりします。
三好 たしかに、大豆製品を使ったドッグフードはワンちゃんの体にも良さそうですね。化粧品も気になります。
瑞慶覧さん あと、実は飲食店を展開したいと思ってます。ソイラボのような地元向けのカフェではなく、観光客向けに体験型の飲食店をやりたくて。
三好 飲食店!体験型とはどのようなイメージですか?
瑞慶覧さん たとえばゆし豆腐を作る際、にがりと塩を入れるんですけど、上の方が固まってくるんですよ。その固まったものをしゃぶしゃぶするとか。
三好 湯葉みたいな感じですか?
瑞慶覧さん そうそう!佐賀の嬉野温泉でやってる、温泉湯豆腐みたいなものをやりたいなと思っています。地域の食材で体験ができるような。お店で提供しつつ、お家でも体験ができるようなキットを作りたいです。
三好 楽しそう!ありがとうございました!
前回の取材から4年。おいしい豆腐作りはブレず、豆腐の可能性をどんどん拡張している瑞慶覧さん。昨年ジーマーミ―豆腐の会社を買収し、ジーマーミ―豆腐作りもはじめたそう。
コロナ禍にHACCPと、豆腐屋にとっては大変なニュースが続いたが、髭が伸びてガラリと印象が変わった瑞慶覧さんは、以前お会いした時よりも楽しそうに見えた。飲食店がオープンしたらぜひまた後追い取材にお邪魔したい。
投稿者プロフィール
三好 優実 - 2024/08/27
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