TOPIT「もったいない」を「ありがとう」へ ~モノシェアが再構築する地域のつながり~
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「もったいない」を「ありがとう」へ
~モノシェアが再構築する地域のつながり~

2017年02月13日

 

「シェアリングエコノミー」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
1つのモノを所有者が独占して使用するのではなく、共有(複数の人で交代、あるいは分割して使うこと)を前提とする経済のことだ。

カーシェアリングの「Uber」や民泊のマッチングサービスである「Airbnb」などのいわゆる「シェアリングサービス」が普及するにつれ、シェアリングエコノミーという考えが広まりつつあり、『使いこなせていないモノを他の人に貸して有効活用する』ことで『新しい経済効果が生まれる』というだけでなく、『モノのやりとりを通じて新しいコミュニケーションが生まれる』という可能性が充分に秘められており、シェアリングサービスに期待する人達も多い。

そんな中、沖縄県内でシェアリングサービス「モノシェア」というサービスを立ち上げた「モノシェアサポートチーム」の赤嶺忠昭氏にお話を伺った。

 

手軽な操作で貸し借り

モノシェアは「モノを貸したい人」と「モノを借りたい人」のマッチングをするサービスである。
全てスマートフォンアプリの簡単な操作で「貸したい人」は「出品」が行え、「借りたい人」は「予約」が出来る。貸し手はプラットフォーム利用料としてレンタル料金の30%をモノシェアに渡す仕組みとなっている。

現在の品揃としては、高圧洗浄機、高級家電をはじめ、ベビーベッド、ベビーカー、遊具・玩具などのこども用品、テントやBBQセットなどのアウトドア用品などが人気となっている。
(※平成29年2月1日現在)

 

こっそり世の中を変えたい

赤嶺氏は1967年生まれで、元印刷会社の営業マン。
前職では、デジタルコンテンツやWebサイトのマネジメント、プロデュース業務を行う傍ら、デジタルコンテンツの事業組合などの立ち上げを行い、その後、フリーランスとなる。

「モノシェア」を立ち上げたきっかけはいろいろな事が重なったからだという。

一つ目は、まさしく「シェア」という書籍に出会えたこと。
二つ目は、2011年東日本大震災で衝撃を受け、自分が世の中のために何か出来ないか悩むようになったこと。
これらが重なり、「シェアリングサービスで、人と人とをつなげたい」と思うようになったという。

「シェアリングサービスであれば、自分でも世の中にインパクトを与えられる。
世の中をこそっと変えられるのではないかと思いました。」

 

シェアリングサービスの課題

シェアリングサービスは周りの期待が大きく、取材を受ける機会も多いというが、
「使っていないモノを有効活用出来る」といったメリットよりも、「知らない人にモノは貸したくない」「壊れたり、無くされたら?」といったリスクに目がいきがちで、出品数はまだまだこれからといったところである。

これらの不安を解消するため、「モノシェア」は貸し手と借り手が直接会う必要が無いよう、リアルな面では、既定の場所にて受け渡しを行なう仕組をつくり、アプリでは、取引後の相互評価、事前のチャットによるコミュニケーション、破損・紛失等の補償額を予め設定する等、工夫をしている。また、シェアリングサービスを対象とした保険商品も準備中だ。

しかし、これらの解決策はやはり本質的なものではないであろう。

シェアリングサービスは「モノのやりとりを通じて新しいコミュニケーションが生まれる」という点に、大きな特徴があるのだ。前述の通り、赤嶺氏も「つながり」を作るために「モノシェア」を立ち上げた事を考慮すると、シェアリングサービスは、「単なるモノの貸し借りを超えた『イイコト』をもたらすもの」という意識をもっと世の中に広める事が重要なのだと感じる。

「もったいない」を「ありがとう」へ変える。
家の中で眠っているモノを持ち寄るだけで、世の中が変わるという事を信じる人が増えれば増えるほどシェアリングサービスは加速していくのではないだろうか。

企業秘密を含むため詳細はあかせないが、
「モノシェア」は、直近で集合住宅向けに展開するための準備を進めているとの事。
同じ建物に住む人同士がモノシェア通じて更につながりを強めていく。
これが実現出来れば赤嶺氏が目指す世界に一歩近づくであろう。

モノシェア公式ページ
https://www.mono-share.com

編集部 - 2017/02/13