【プロアライアンスその後】しがみつきを手放し、すべてが好転。社名変更して次のフェーズへ
2024年09月18日
Tweet琉球ジャーナルが過去に取材した方を、後追い取材する「その後」シリーズ。
今回は、動画求人サイト「オキナビ」運営のほか、映像制作やWebプロモーション、アプリ企画開発、採用コンサルティング事業を展開する株式会社プロアライアンスの大城 佑斗(おおしろ ゆうと)さんのもとを訪れた。
2019年に取材した過去記事はこちら
https://journal.ryukyu/business/2047
前回の取材では、「専門性の高い人材と会社(チーム)の調和により、化学反応のように新しい価値を生み出していく」という組織作りについて語っていただいた。(この考え方は社名にも由来している)
5年経った今、コロナ禍や売上の大部分を担っていた事業の撤退など、様々な困難があったそうだが「すべて好転した」と話す大城さん。気になる「その後」を伺った。
しがみつきを手放し、流れが変わった2022年。
三好 以前取材した時はコロナ前でしたが、コロナも挟みつつ5年。どんな5年間でしたか?
大城さん 紆余曲折ありましたが、一言でいうと財務状況も雰囲気もすべて好転しました。
三好 すべて好転!大きなトピックから伺っても良いでしょうか。
大城さん 一番大きいトピックは、1億以上の売上があったコンビニ事業の撤退ですね。病院の中で運営していたのですが、コロナ禍でお客さんが減ってしまい、2020年1月から永遠と赤字を垂れ流す事業に変貌してしまっていました。
三好 売上1億円から赤字事業に。
大城さん 実はもともと2022年7月に出るという契約だったのですが、病院から「今出てもいいよ」「コロナ禍だからしょうがないよね」と言ってもらいました。だけど病院側の大手コンビニチェーンに切り替えたい意図を感じてて。そうなると今コンビニで働いている従業員が切られてしまう。だから赤字を垂れ流してでも、満期まで踏みとどまろうと決めたんです。
三好 お金より雇用を守ることを優先したんですね。
大城さん かなり苦しかったですけどね。だけどある時期から、コロナ禍で病院側も大手コンビニチェーン側も先行き不透明な状況になりました。そこで「事業譲渡の可能性も模索いただけるのではないか」と思って、交渉したんです。交渉内容は、今働いている人を全員残すことと、給料や福利厚生は病院の高い水準に引き上げてもらうこと。交渉は成立して、最高の形で譲渡できました。
三好 すごい!粘り勝ちみたいな感じですね。
大城さん 今思えば、売り上げが1億を超える事業を手放したくない、経営者のエゴみたいなものがあったんだと思う。だけどしがみつきたいものに対して、自分なりに考えた行動が実を結んでよかったです。結局、手放した後もコンビニ分の売上が他の事業で出せるようになったし。
三好 え、そうなんですか!何をされたんですか。
大城さん みんなが頑張ってくれた結果なんだけど、ちょっとスピリチュアルな話をしてもいいですか?(笑)
三好 どうぞ!
大城さん コンビニ撤退と同じ年に事務所を移ったんです。とても雰囲気のいい場所に。さらにその翌年、長年経理を担当していた方が退職しました。長い人だったし、僕も頼りきりだったので大きな決断でしたが、色んなものを手放したタイミングで突然、滞っていた案件が一気に流れ出したんですよ。
三好 すごい!手放すと入ってくるみたいな。
大城さん コロナ禍の影響でペンディングされていたものが動き出しただけなのかもしれないけどね。僕にとっては心機一転頑張ろうのタイミングだったから、「流れはじめた」って感覚でした。
コロナ禍は人材を仕込み、新規事業を立ち上げる時期に
三好 コロナ禍はどう過ごされていたんですか?
大城さん コロナ禍は人材を仕込む時期にしようと思いました。社員の教育をしたり、以前から「一緒に働きたいな」と思っていた人にアプローチをはじめたり。実際それで最近、優秀な人を採用できたんですよ。
三好 また優秀なメンバーを増やしていたんですね(笑)。大城さんは、それこそプロフェッショナルを採用するプロというイメージがあります。どうやって口説くんでしょうか。秘訣はありますか?
大城さん その人が何がしたいのかをまず聞いた上で、僕がしたいことや会社が目指していることを伝えます。なにかひとつでもマッチしていれば、本人は興味がないはずがない。うちは人数も少ないから「機動力持って動きやすいだろうな」「成長曲線描きやすいだろうな」っていうのが本人の中で見えてくると、来てくれたりします。
三好 なるほど。ごり押しで「来てください!」ではなく、じっくり関係性を作っていく感じなんですね。
大城さん そんな感じです。あとコロナ禍中は人だけじゃなく、新規事業もいくつか仕込みました。それこそ「沖縄ナビ」(沖縄県内の情報が集結するアプリ)はコロナ禍だからこそできたことのひとつです。
三好 コロナ禍だからこそだったんですか。
大城さん 実は沖縄ナビの構想はかなり前からあったし、自分たちだけならいつでもできたんですけど、コロナ禍は世界中が落ち込んでいるからこそ、近い夢や目標を持つもの同士が共鳴しやすい環境でした。沖縄を代表するメディアであるQABと共に協業できたことは、私達の士気も大きく上がりました。
社員ひとりひとりの能力が爆発!人間力で結果を出し、次のフェーズへ
三好 先ほど、皆さんの頑張りのおかげでコンビニ撤退後も売上が上がったとおっしゃっていましたが、それは沖縄ナビのような新規事業によるものですか?それとも既存の事業?
大城さん 既存です。コンビニ事業で失った売上以上をWEBと映像で作りました。社員ひとりひとりが爆発した感じ。
三好 爆発!なにかきっかけがあったんでしょうか。
大城さん シンプルにみんなが頑張ってくれました。コンビニ撤退の際、一度話をしたんです。売上が一気に下がったこと、不安があること、正直何年持つか分からないという話までしましたね。自己資金で数年は持つけれど、できればそうはしたくない。みんなで頑張りたいから、気を引き締め直して頑張ってほしいと。
三好 ではみんなが頑張って営業して仕事を取ってきて、みたいな感じですか?
大城さん 営業はしてないんです。うちの強みは「営業力」ではなくて「人間力」だから。新規にあたるんじゃなくて、目の前のお客さんが何を求めているかを見極めて、しっかり提案していくことを徹底した感じかな。ひとつひとつがちゃんと結果を出してくれて、自然と売上が上がったんですよ。
三好 なるほど。ひとりひとりがプロフェッショナルだからこそというか、前回の取材でおっしゃっていた「プロアライアンス」の社名にも繋がってくる気がします。
大城さん あ、実は社名を変えようと思ってるんですよ(笑)。
三好 え!変えるんですか(笑)。何にするんですか?
大城さん それはまだ決めてない(笑)。これまでは前回お話したように、個々のスキルを活かした高機能会社を目指してたんです。専門性が高い人間5名くらいでやれればいいなって思ってた。
だけど1人の力には限界があることがわかったんです。能力ではなく時間の限界。今の品質を保ちながら案件を増やしていくのは不可能だから、お客さんの満足度が半減しないためにも、専門性にこだわらずに人員を増やす必要があります。
三好 なるほど。次のフェーズとして社名を変更する感じですか。
大城さん そうですね。今は自分のエゴみたいな社名になってるでしょ。「こんな会社を作りたい」っていう。でもこれからは、地域になにかを届けたいっていうところにコミットした名前にしたいなと思ったんです。来年くらいには決まるといいかな。
三好 すごい。武器はそろったぞ感。新しい社名が楽しみです。ありがとうございました!
取材後、雑談の中で大城さんは「うちの強みを一言で表すと、強靭なメンタルと強すぎる運」とおっしゃった。あまりのパワーワードに思わず笑ってしまったが、たしかに制作案件をこなしながら、新規事業を数年がかりで仕込むのはかなり持続力がいる。それを下支えするのはやはり、ひとりひとりのメンタルの強さなのだろう。
社名が「プロアライアンス」でなくなる時、退職する人も出るかもしれないと大城さんは言う。それでも最後には好転に向かいそうな、強すぎる運の存在を私は感じた。
◆株式会社プロアライアンス企業ページ
◆動画求人サイト「オキナビ」
◆沖縄県民のための沖縄総合メディア「沖縄ナビ」
投稿者プロフィール
三好 優実 - 2024/09/18
- Facebookページはこちらから!
- TwitterでRYUKYU JOURNALをフォローしよう! Follow @RYUKYUJOURNAL