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【終活カウンセラーのその後】コロナ禍で終活をストップ!5年かけて切り開いた「美・食・住」の三本柱

2024年08月28日

琉球ジャーナルが過去に取材した方を、後追い取材する「その後」シリーズ。

 

今回は、前回の取材では「終活カウンセラー」をされていた榊田 恵美(さかきだ えみ)さんのもとを訪れた。

 

2019年に取材した過去記事はこちら

https://journal.ryukyu/people/2170

 

前回の取材では、「終活のイメージを変えたい」「終活をすることで今を大切にできるようになる」「死に対するイメージを明るくしたい」とおっしゃっていた。

 

だが取材前は新型コロナウイルスが猛威を振るう直前だった。その後、コロナ禍の影響で、終活を一度ストップすることになったという。終活ストップの経緯やコロナ禍で考えたこと、その後の行方など、気になる榊田さんの「その後」を伺った。

 

終活をストップ。「コロナ禍で死があまりにも身近になってしまった」

三好 ご無沙汰しています。コロナ禍で終活を休止されていると聞きました。どのような経緯で休止されたんでしょうか。

 

榊田さん コロナ禍で、年配の方を集めることができなくなってしまったことに加え、志村けんさんや岡江久美子さんなど著名な方が亡くなってしまいました。死があまりにも身近になってしまって、皆さん「考えることが怖い」という状態だったんです。そんな時に「死を明るく捉えましょう」っていうのはちょっとできないなって。

 

三好 たしかに当時、年配の方ほど罹患したら亡くなる率が高いと言われていましたよね。アナウンサーのお仕事はどうされていましたか?

 

榊田さん コロナ禍でイベントも軒並み中止になって、司会業がなくなりました。うちは主人も演出業で、夫婦揃ってイベント事業に関わっていたので、コロナ禍のダメージは大きかったです。飲食は補助金がありましたが、イベント業はなにもなかったので、本当に全部が止まってしまった感じでしたね。

三好 その間、どのように過ごされたんでしょうか。

 

榊田さん 私のライフスタイルから派生した事業の一環として、オリーブオイルに関するYouTube動画を配信するようになりました。コロナ禍で健康需要も高まっていたし、家で料理する人も増えていたので、必要とされるんじゃないかなって思ったんです。

 

三好 その後、オリーブオイルの専門店をOPENされていますよね。

 

榊田さん 最初は、知り合いのお店を間借りさせてもらってOPENしたんですが、コロナ禍が終焉したタイミングで、オリーブオイルとお素麺、お塩の専門店として、豊見城に実店舗をOPENしました。店舗と並行して、レストランのシェフにオイルと塩の組み合わせを伝えたり、新メニュー開発のお手伝いもしています。

 

培ったスキルを活かしつつ、自分の興味を落とし込んで見出した「美・食・住」

榊田さんのお店「そうめんとそうざいSouSou」のお素麺

榊田さんのお店「そうめんとそうざいSouSou」のお素麺

 

三好 終活からオリーブオイル、大きく方向転換した印象です。

 

榊田さん 私の中では終活もオリーブオイルも繋がっているんですよ。「今」を考えるために終わりから逆算してたのが終活、「今」足りないものを足すのがオリーブオイル、という感じ。だから「お薬を飲まなくてもオリーブオイルで免疫力を上げられるよ」「野菜の栄養を上手に摂るにはお塩が大事」っていう話を、youtubeとお店で発信してるって感じですね。

 

三好 なるほど!繋がっているんですね。榊田さんはオリーブオイルの他にも、色々やられている印象です。他にはどんなことをされているんですか?

 

榊田さん 実は数年前「美・食・住」を自分の軸にしようと決めたんです。「食」は、オリーブオイルとお酒と塩。お酒に関しては、 唎酒師の資格を持っているので、和食屋さんをお手伝いもしてるんですよ。「美」は韓国コスメの販売を数年前からやっていて、「住」については金融系のセミナーを最近はじめたところです。終活もここに入るかな。

 

三好 多岐にわたる…!韓国コスメというのは?

 

榊田さん これも興味を持ったことの延長線上で、自分に合うコスメを探している中で出会ったんです。韓国の知人が「コスメを開発したから使ってみてほしい」と商品を送ってくれたんですよ。使ってみたらよかった。これはぜひ人に薦めたいと思って、韓国の工場に行ってみたんです。製造環境もとてもよかったので、日本での販売を手伝うことになりました。

 

榊田さんがプロデュースするコスメシリーズ「Aso-Beaute(アソボーテ)」

榊田さんがプロデュースするコスメシリーズ「Aso-Beaute(アソボーテ)」

 

三好 韓国まで工場を見に行く行動力がさすがすぎます。金融系のセミナーというのは?

 

榊田さん これも私のライフスタイルから派生したものです。これまで終活では、お金ゾーンはFP(ファイナンシャルプランナー)や司法書士の方に担当をお願いしていたのですが、自分の老後を考えてちゃんと勉強したくなって、資格形成アドバイザーやFPの資格を取ったんですよ。以前から興味があった海外積み立てのリサーチを目的に海外へ行ったりもして、気付けばいろんな知識が身についていました。その知識と、アナウンサーで培った喋るスキルを活かして、セミナーを開催するようになった感じですね。それこそ終活の話に戻るんだけど、「いくつまで生きたいか」「それまで何をしたいか」を支えるために、お金は大切な要素の一つだから。

 

三好 そこで終活にも繋がるんですね。「美・食・住」のテーマにはどうやって辿り着いたんでしょうか。

 

榊田さん とにかく私はライフとワークが直結しているんです。アナウンサー時代から、「自分がいいと思ったものを人に伝えたい」って気持ちは変わっていないので、喋る力を活かしつつ、自分の興味を落とし込んだら「美・食・住」に辿り着いた感じかな。やっぱり私はライフスタイルを提案することが好きなんだなって思いますね。

三好 なるほど。それにしても、学ぶ意欲と海外まで行っちゃう行動力が本当に凄いです。新しいことに手を付ける際「この勉強に時間をかけよう」って決める、取捨選択みたいなのってどういう風にされてるんですか。

 

榊田さん 気になったことは一度、落とし込むまではやろうと思っています。たとえばオリーブオイルだと、ある程度の知識を習得するまでは時間を割いて勉強する。そしたら後は 情報の更新だけで良くなるから、商品の品質はキープしつつ、お店は人に託せてまた次の勉強をはじめるって感じかな。

榊田さん 終活の時も必ず伝えるんだけど、ゴールをひとつ決めておくことが大事だと思っています。日々いろんな情報を浴びる中、何でもかんでもキャッチしてたらあっという間に人生が終わってしまう。だけどゴールを決めておけば、ちゃんとそれに関係したものをキャッチできるし、キャッチしたものや人が、次の新しい何かと出合わせてくれる。なにかひとつ突き詰めていればいいなんて時代はもう終わってると思うから、何足わらじを履いても、ブレなければいいと思っています。私なら「美・食・住」。人によってフォーカスを当てる分野は変わってくると思いますが、きっとゴールに向けたキーワードはいくつか挙げられるんじゃないかと思います。

 

三好 なるほど!ありがとうございました。

 

コロナ禍で仕事がストップしても「今自分にできること」をやり、その繰り返しと出会いと学びによって、ご自身の軸を確立された榊田さん。積み上げたものの強固さと、ワークライフバランスではなくライフの延長線上にワークがある働き方、もとい生き方が素敵だなと思う取材だった。

 

三好 優実 - 2024/08/28