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提供するのは「WEBとリアル」。韓国人向け旅行サイト『オキゾンパス』とは

2018年11月13日

韓国人観光客に特化した沖縄旅行サイト『オキゾンパス』

株式会社トモトゥデイが運営する、韓国人観光客に特化した沖縄旅行サイト『オキゾンパス』をご存じだろうか。沖縄に訪れる韓国人観光客に向けて、沖縄旅行情報やクーポン情報を提供する会員制サイトだ。

このサービスの凄いところは、サイトだけではなく国際通りのドン・キホーテ5階に会員専用ラウンジがあるということ。専用ラウンジには、沖縄県内のクーポンや観光雑誌があるのはもちろんのこと、韓国語が話せる現地スタッフが常在し、旅行中に困ったことや聞きたいことがあれば立ち寄れる場所として活用することができる。

『オキゾンパス』専用ラウンジ

『オキゾンパス』は、2016年の8月にリリースしたサービス。1年ほど前に韓国通信最大手「SKテレコム」と業務提携を結び、そこから会員数が大幅に激増したのだという。「SKテレコム」とは、韓国で52%ものシェア率を誇る携帯会社。日本でいうと30%あればかなり大手だと言える業界で、52%ものシェア率を占めるというのは驚きだ。

なぜそれほどまで大手の携帯会社との業務提携が成功したのか、なぜサイトだけではなくリアルな場所としてラウンジを設けたのか。その秘密を知るべく、オキゾンパスを運営する株式会社トモトゥデイ社長「我喜屋 隼人(がきや はやと)」さんに話を伺ってきた。

オキゾンパスを運営する株式会社トモトゥデイ社長「我喜屋 隼人(がきや はやと)」さんに話を伺ってきた

ーSKテレコムとはどんなきっかけで業務提携することになったんですか?

「韓国の人の間では沖縄旅行の人気が上がってきてるんですよ。SKテレコムは超大手の携帯会社だから、韓国では自分たちのマーケットができあがってる。そんな中で、韓国だけじゃなく海外でも、自分たちのお客さんに対してサービスを提供できるようにしたかった。うちは韓国人が常在するラウンジがあるので、そこでビジネスモデルがマッチして業務提携に至りました。」

業務提携に至ったのが2017年7月。当時は、創業したての会社になぜ大手会社が業務提携したのかと話題になったそうだ。

「業務提携前の会員増加数は、1年間で7,000人程度だったところが、1週間で7,000人増加しました。1週間で1年分の会員増加には驚いたし、システム的にパンクしかけたこともあり、嬉しい悲鳴だけど、お客さんに対応できないとかもありましたね。」

きっかけとなったのは会員専用ラウンジの存在。WEBとリアルが融合したサービスをつくりたかった。

きっかけとなったのは会員専用ラウンジの存在。WEBとリアルが融合したサービスをつくりたかった。

ードン・キホーテにラウンジを設置するとなると、かなり費用がかかりそうですが、なぜラウンジを設置しようと思ったんですか?

「前職からWEBに精通してビジネスをさせてもらっていたので、WEBの魅力は感じていたんです。ただ、24時間対応など便利な反面、すごく無機質なんです。旅行に行く時、誰とも会わず誰とも喋らず完結する。それも便利ではあるけれども、やっぱり旅って人とのコミュニケーションがあってこそ楽しいと思うんですね。便利さの中にも、本来ある旅行の醍醐味を楽しんでほしい。それを、webとラウンジ両方を持つことで体現したいと思ったんです。」

海外旅行に不安はつきもの。言葉の壁による心配や知らない土地での寂しさもあるだろう。そんな中、自分たちの国の言語が話せて、尚且つ沖縄について詳しいスタッフとの交流が会員限定でできるというのはかなり心強い話だ。

「今後はより無機質なWEBの世界になっていくと思うんです。だからこそ、人との出会いは大事にしたい。ラウンジにはすごくこだわっています。」

韓国に比べ、湿度の高い沖縄旅行で疲れてしまっても一休みできるよう、クーラーを効かせ、ゆったり過ごせるようソファーやカウンター席も設置されている。

韓国に比べ、湿度の高い沖縄旅行で疲れてしまっても一休みできるよう、クーラーを効かせ、ゆったり過ごせるようソファーやカウンター席も設置されている。また、Wi-Fiも完備されており、国際通りを歩きたい人やドン・キホーテで買い物を楽しみたい人には、荷物の預かりも無料で行っているという。

「維持費もすごくかかるし、もしかしたらここを撤去してWEBに特化してやった方が、売り上げは上がるかもしれない。でもそれでは他のサイトと変わらなくなる。違いを商品の安さでしか示せなくなるんですよ。旅行には確かに商品の安さも大事だけれども、正直、1000円安いか高いかがだけが価値ではないと思うんです。」

「たとえば美ら海水族館のチケットもここでは販売しているけれども、せいぜい12%オフ。でもコンビニで10%オフのチケットが買えるんです。数十円くらいしか変わらないのに、わざわざ駐車場にレンタカーを停める面倒があっても、それでも彼らがここにわざわざ来るのは安心したいからだと思うんですよ。足を運んでくれたお客さんの数が示してくれているので、自信があります。」

「あと、うちのスタッフは皆コミュニケーションが好きな人が多いんですよね。それもウリにしていきたいです(笑)。」

親しみやすいコンシェルジュが常在する安心感は、値段には代えられない価値

親しみやすいコンシェルジュが常在する安心感は、値段には代えられない価値

コンシェルジュの方に、ここに来る観光客の方はどんな人が多いですか?と尋ねてみると、こんな答えが返ってきた。

「国際通りで美味しいお店を教えてください、とかステーキはどこがいいですか、など質問されることが多いですね。あとはアクティビティの予約を代行することもあります。子供を遊ばせる場所はありますか、とかも多いですかね。」

WEBで賄えそうなことを敢えて直接聞く、ということは、やはり現地で生の声を聞きたい気持ちがあるからこそだと思う。そして生の声を聞き、交流することで、旅行の醍醐味である食事やアクティビティを安心して決めることができるのだろう。

ラウンジは売り上げではない。旅行の楽しみを帰るまでサポートする。そんな価値あるサービスを提供し続けたい。

ラウンジは売り上げではない。旅行の楽しみを帰るまでサポートする。そんな価値あるサービスを提供し続けたい。

「どこのサイトも、旅先に呼び込むまでは一生懸命やるんですよ。それはもちろん素晴らしいこと。だけど、行ってから帰るまでフォローしてくれるサービスというのはほとんどないでしょ?そんなサービスをつくりたかったんです。」

今後は韓国だけでなく、国内や台湾などでサービスを展開していきたいのだそうだ。WEBとリアル、行ってから帰るまでをサポートするという仕組みは、WEBで何でもできる今だからこそ必要なサービスなのではないだろうか。

旅をすること、旅を楽しんでもらうこと、そして沖縄を好きになってもらうこと。それが体現できる「WEBとリアル」という言葉に、現代に必要な新しい価値を感じることができた。


★オキゾンパス公式サイトはこちら
http://www.okizonepass.com/okinawa/

三好 優実 - 2018/11/13