TOP芸能琉球民謡を、今後も発展し続ける文化へ。SunSeaN.株式会社の活躍と挑戦
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琉球民謡を、今後も発展し続ける文化へ。SunSeaN.株式会社の活躍と挑戦

2018年08月29日

観光客数はハワイを越え、拡大基調が続く沖縄観光。那覇市国際通りの一等地、ハイサイおきなわビルの地下1階には、毎日民謡ステージが楽しめるお店『Show&Restaurant SunSeaN -三線-』がある。運営するのは、アーティスト派遣事業を営むSunSeaN.株式会社。

「ショッピングや飲食を楽しむように、沖縄の文化・民謡にも親しんでほしい。沖縄の文化・琉球民謡を、沖縄を訪れるきっかけにしていきたい」と代表の宮里さん。今回は、宮里さんに、ご自身のルーツや琉球民謡に対する想いをお聞きしました。

人生観を変えたカナダの旅

宮里さんは沖縄県沖縄市出身。北谷高校を卒業後、インテリア好きだったことから、インテリアデザイナーを目指して専門学校へ進学。しかし、その専門学校を退学してしまう。

「遊び半分で学校に来ている生徒が多く、模試の最中ですら騒がしい状態。真剣に学んでいる身としては、勉強に集中できず辛かった。先生に訴えたところ、『どうして皆と一緒にできないのか』という一言が返ってきた。その言葉で、辞める決心がついた」という。

「ここに居ても一流のデザイナーにはなれない」と感じた宮里さんは、専門学校を中退。フリーターとして過ごすことになった。やるべきこともやりたいことも定まらず、悶々とした日々を過ごしていた時、姉と一緒にカナダへ行くことに。

「カナダに行って、世界の大きさを感じた。昔から自動車が好きで、道路を走る車は全て名前を言い当てることができた。それなのに、カナダで走っているトヨタマークの車の名前がわからず、自分が日本の中しか知らなかったことに気づかされた。寒さが厳しい中、タンクトップでバイクに乗っているおじさんが居たりして(笑) 良い意味で、今までの常識を覆された。大きい事に挑戦したいという意欲がわいてきた」と、宮里さん。

将来は起業したいという想いが強くなった宮里さんは、経営に関する知識を身につけるため、大学へ行くことを決めた。

試験勉強ゼロからの大学受験

高校ではまったく試験勉強をしたことがなかったという宮里さん。初めての試験勉強が大学受験ということに。入塾した進学塾では、成績別で一番下のクラス。やるからには、一番を目指すという信念の元、塾の担任の先生に「早稲田大学へ行きます。そのための勉強を教えてください」とお願いしたそうだ。

約10ヶ月の猛勉強の末、早稲田大学にはわずか0.8点届かなかったものの、明治大学、中央大学に合格。立命館や関西学院にも合格を果たした。「最初から明治や中央を目指していたら、そこも落ちていたかもしれない。早稲田(1番)を目指したからこその結果だと思う」目標を高く設定することの重要性を、身に染みて感じたという。

起業へ向けてステップアップ

中央大学商学部へ進学した宮里さん。卒業後は国立の大学院に進み、経営学やマーケティングについて研究を進めていった。沖縄に帰って起業する前に、実社会でのノウハウを身につけようと考えた宮里さんは、大学院卒業後は東京の元リクルートグループ系列の会社へ就職。

就職先は、社会人として成長させてくれる点を重視して選んだという。その目論見通り、就職した会社での1年目は先輩社員からの指導が手厚く、どの会社に入るよりも1番成長できたと感じたそうだ。

沖縄で起業・新たなスタート

宮里さんの母は、民謡歌手として有名な我如古より子さんだ。芸能一家で育った宮里さんは自然と、この沖縄の伝統を受け継ぎたいという想いを持っていた。東京で学んだことを活かし、起業するために沖縄に帰ってきた宮里さん。

母・より子さんが営むお店の運営を行う会社として、合同会社・姫グループを設立。“姫”の社名はコザ本店の“姫”、那覇の2号店“歌姫”の共通文字からきているが、“姫”の1語だとウェブ検索で風俗的なイメージがあったため、変更することに。

社名変更と共に、合同会社から株式会社への組織変更も行った。手続きはすべて自分で行ったという宮里さん。「手続きを自分でやったというと驚かれます。とてつもなく時間と労力がかかるので、もうやりたくないです」と笑いながら話してくれた。

組織変更を経て、SunSeaN.株式会社の代表として再スタートをきった宮里さん。店舗運営の他に、民謡歌手やエイサーの演者派遣事業も行っている。

「アーティストの方々が自分で営業交渉すると、安売りしてしまう人が多い。私達が売り込むことで、アーティストの方々に渡せるギャラも増え、鑑賞価値も高まる」マーケティングの理解が深い宮里さんだからこそ、沖縄の伝統文化を体現するアーティストの方には高い報酬を得て欲しいと考えているようだ。

そんな宮里さんが今抱えている課題とは。
「アーティストの方々が、より高い意識で活動できる環境にしていきたい。もちろん、パフォーマンスの質をしっかり安定させることは大切。かつそれと同時にアーティストとしての下積み活動(積極的な告知や地道なファンとのコミュニケーション等)の大切さを理解してもらわないといけない」と話してくれた。

そのために、下積み活動の見本になれるよう、まず自分が先頭を切ってやっていこうと、舞台に立つ練習もしているそうだ。

琉球民謡への想い

宮里さんは「三線に関しても、根本を辿れば沖縄独自のものではなく、外来のもの。外から来た文化に変化を加え、独自の文化としてオリジナルなものを作り上げることができるのが、沖縄の魅力だと思う。“伝統文化”として古いものを守ることも大切だが、それだけでは持続的な保存と継承は難しいかもしれない。新しい方法を取り入れ、『変化への適応』をしていくことで沖縄の文化・ 琉球民謡を更に発展させていきたい」と語る。

『音楽は世界語である』というバッハの言葉がある。SunSeaN.株式会社の活躍により、琉球民謡は世界に広く知れ渡っていくだろう。


【Show & Restaurant SunSeaN -三線-】
https://www.sunsean.co.jp/sunsean.php
エイサー、琉球舞踊、島唄ポップスなど日替わりでお届け。

【民謡ステージ歌姫】
https://www.sunsean.co.jp/utahime.php
コテコテの民謡専門店です。リクエスト・飛び入り大歓迎。

【アーティスト派遣のご依頼】
http://sunsean.biz/artist
沖縄県内外、どこでも出張ライブ承ります。

翁長奈七 - 2018/08/29