沖縄スポーツマネジメント アスリートのキャリア支援と譜久里武さんの挑戦
2024年08月30日
Tweet琉球ジャーナルで過去に取材した方々を後追い取材する「その後」シリーズ。
今回は、一般社団法人アスリート工房代表・株式会社沖縄スポーツマネジメント代表の譜久里武さんに改めてお話を伺った。
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https://journal.ryukyu/sports/2287
(翁長)前回はクラブについてお話を伺いましたが、今回はビジネスのお話をお聞きしたいと思います。現在行なっている事業はどのようなものがありますか?
(譜久里)アスリートのセカンドキャリアの支援や、デュアルキャリア支援というのをいま積極的にやっています。企業とアスリートをどう繋ぐかを考え、創業36年で多くの企業との繋がりがある学生サービスセンターと提携して、セカンドキャリアも含めてアスリートの就職支援をすることにしました。自分たちではできないことも、できる企業、そこに強みを持った企業と連携することで、うまく循環を作っていこうかと。
アスリートのキャリア支援とは
(翁長)就職支援というのは、アスリート工房に所属している子たちの?
(譜久里)いえ、沖縄スポーツマネジメントに所属しているアスリート達です。キングスの元選手やコラソンの現役選手、ウェリトリフティング選手や陸上選手など多岐にわたります。ここの選手達と面談をしていると、どうしても将来への不安や、現在の活動資金についての相談が圧倒的に多いですね。それで、まずはアスリートのセカンドキャリア支援に関しては、学生サービスセンターと提携して、企業へのアスリートの付加価値を高めていこうと取り組んでいます。アスリートの価値を高めていくために、アスリートにどんどんスポットライトを浴びせていこうと。沖縄だとキングスやコラソンはメディアの露出が高く、必然的にメディアの露出度が高ければ高いほど企業にもそのアスリートの存在は知られているんですけど、実はアマチュアスポーツでも世界を舞台に活躍してる選手が数多くいて。そういう人たちにもどんどんスポットライトを浴びせて、有名にしていこうという活動もしています。
(翁長)この活動はいつ頃から?
(譜久里)去年からアスリートのキャリア支援を始めて、同時にアスリートを有名にしていこうという活動もしています。今回はその一環として、「夢追い人in沖縄」プロジェクトを始動しました。“無名の有名人”ということで、今は無名だけど将来は有名になるであろうという方に出てもらって、無名だけど有名にあるチャンス・ステージを作っていこうという企画です。その実行委員長として今動いているところです。
(翁長)去年から、ということは、コロナが明けてから始めたということですね。
(譜久里)そうです。コロナの時は自粛自粛で、緊急事態宣言の時は何もできなかったけれど、将来こうなったら良いなぁとか、夢とか持つじゃないですか。家にいる時間が長いといろいろ考えますよね。たくさん考えてきたことが、今は思いっきりできる。あの時(自粛期間)からしたら、今は天国的な状況ですよね。本当に感謝。せっかく自粛も終わったので、考えていたことをスピーディに行動に移そうとしています。
アスリートと企業の橋渡しをしたい、と語る譜久里さん。年代やジャンル問わず人脈が広い。
(翁長)アスリートの就職支援というのは、学生サービスセンターと連携して企業へアスリートを紹介する、ということであってますか?
(譜久里)そうです。僕自身も学生サービスセンターの副社長に就任させてもらって、企業に一緒に挨拶しに行ったり、アスリートの魅力をPRして、アスリートの価値を上げようと活動しています。アスリートの方向性としては2パターンあって、1つは競技を継続しながら働きたいので、練習時間の確保や遠征費の確保を課題とするパターン。もう一つは、競技を終えて、セカンドキャリアとして今後どうして行きたいかを考えるパターン。不安を抱えて活動しているアスリートは非常に多いので、そういう不安を取り除けるようなサポートを心がけています。
「競技」と「仕事」との両立について
(翁長)譜久里さん自身も、現役のアスリートとして活躍しながら経営者としてお仕事をされていて、競技と仕事とのバランスはどう取っているのでしょうか。
(譜久里)僕は陸上をしていますが、実はアスリートとしての活動が好調なときほど、ビジネスも好調なんです。精神的な安定と充実が、やっぱりライフワークにもつながっていくので、アスリートに対してどう不安を取り除いていくかがポイントだと感じています。就職支援でも、いまやっている競技のキャリアを、いかに仕事に繋げるかというアドバイスはやっているつもりです。僕自身SNSを積極的に活用して情報発信したり、自己ブランディングのために色々と試行錯誤してやっています。独立したいというアスリートも多いので、そういった方々を少しでも支援できる仕組みを作りたいなと思ってやっています。
(翁長)譜久里さんにしかできないアドバイスだな〜と感じます。
(譜久里)そうですね。実際現役でやっているし、僕が10代・20代の時は一般の人と同じような就職活動という感じで、一人で悩みを抱えていました。スポーツを諦めて仕事に専念するかどうかという選択を迫られているような状況でしたし、活動資金の悩みもありました。情報もあまり手に入らなくて。でも今は情報がたくさんあるので、うまく情報を整理してあげながらアドバイスできたら良いなと思っています。そうすることによって、アスリート工房だけでなく、他のスポーツにも関わる人材が増えてくると信じています。ダイビングとかもそうですが、県外の人が、沖縄に魅力を感じて活動してる人が多いと思うんですよね。でも、沖縄にいるウチナーンチュが、経済とかスポーツも含めて沖縄をリードしていかないといけないと考えているので、沖縄出身のアスリートが、自分たちの力をつけて、いろんな方々と連携もして、成功していくような環境を作りたいと思って沖縄スポーツマネージメントの活動に取り組んでいます。
(翁長)アスリートの就職先としては、どのような分野が多いなどありますか?
(譜久里)ホテルやレンタカーなどの観光分野や、学童など教育系、福祉系など、多岐にわたっています。今、女性活躍ロータリー衛星クラブの健康スポーツ委員会の委員長としても活動しており、地域貢献活動にも力を入れています。
(翁長)活動の幅が広いですね。
(譜久里)スポーツを通して、世の中をいろんな方向から盛り上げていこうというのが僕の活動の根幹です。人と人を繋ぐのが自分の役割だと思っているので。
世界マスターズへの挑戦
(翁長)譜久里さん、今年は世界マスターズへの挑戦もあると思いますが、遠征費は全額自己負担だそうですね。行政からの補助もなく、大変じゃないですか。
(譜久里)全額自己負担で資金集めが大変ではありますが、その分、僕の活動を見て陸上界やスポーツ界が盛り上がってくれたら良いなと思っています。地球儀で見たら小さな点くらいしかない、小さい沖縄の、久米島出身のおっさんが、世界一を目指してる姿を見せれば後輩もついてくるのかなと。世界大会でメダルを獲って、たくさんの人を喜ばせたいと思います。本当にたくさんの人に応援してもらっているので、感謝の気持ちを持ち続けてやっていますね。
(翁長)私も応援しています。ありがとうございました!
▼株式会社 沖縄スポーツマネジメントHP
https://sports-management.okinawa/
▼アスリート工房HP
https://athlete-koubou.okinawa/
▼譜久里武オフィシャルサイト
▼fukuチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCVMVyH_lLcK5C8mE4Nik2Mg
▼譜久里武Instagram
https://www.instagram.com/fukuzatotakeshi/
投稿者プロフィール
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沖縄県那覇市出身。二児の母。
沖縄の子育てを応援するフリーマガジン「たいようのえくぼ」と、その姉妹冊子・沖縄の部活動を応援するフリーマガジン「たいようのFight!」のデザイナーを務める。
県内向けおでかけ情報サイト「ちゅらとく」ライター。
翁長奈七 - 2024/08/30
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