外出自粛の免疫アップに、豆腐のサブスクはいかが。三代目の挑戦と、コロナ禍における新サービス
2020年05月11日
Tweet最近、「何代もにわたり、長く続ける」ということほど難しいことはないのではないかと思う。
長く続けるということは、変化「する」「しない」を常に選択し続けなければいけないからだ。守るばかりではいられないけれど、新しい選択が正しいか間違っているかなんて、結果でしか分からない。
今回の新型コロナウイルスなんてまさにそうだ。
「以前からのやり方をずっと続けていたら、倒産していたのかもしれない。」今回取材させていただいた三代目池田屋(有限会社池田食品)社長「瑞慶覧 宏至(ずけらん ひろし)」さんのお話を聞いて、そう思った。
瑞慶覧さんは、三代目として事業を引き継いだ際、“池田食品の豆腐をリブランディングすること”目標に掲げ、あらゆることを変革した。たとえば長年定着していたスーパーへの卸売りを辞め、移動販売に力を入れたこと。たとえば豆腐作りの製法はそのままに、豆腐に使用する原材料にこだわったことなどだ。
それらの試行錯誤をする上での瑞慶覧さんの戦略と、そして今回のコロナ禍における新たな取り組みを取材した。
※この記事は1月と4月、2回に分けて取材しております。写真とほとんどの内容は1月取材のもの、コロナ禍における新たな取り組みのみ4月にオンライン取材したものです。
事業承継後、新たな取り組みはすべて「リブランディングのため」
瑞慶覧さんは、三代目社長就任後、大きな目標を2つ掲げた。
ひとつは「池田食品の豆腐のリブランディングを図ること」、もうひとつは「従来の豆腐屋のイメージを覆すこと」だ。
ふたつの目標を掲げた瑞慶覧さんは社長に就任してすぐの頃、大胆な行動をとった。それは「一時的にスーパーから撤退すること」だ。先代まで、売り上げの8割を占めていたというスーパーからの撤退は、かなり大きな決断に思える。
ーなぜスーパーでの販売を一時的に辞めたんでしょうか?
瑞慶覧さん「リブランディングのためです。スーパーで販売するには他で仕入れている豆腐屋の値段とある程度合わせる必要があるんですよ。お客さんから見たら、隣の豆腐とうちの豆腐がなぜ金額が違うのかなんて分からないから、相場をある程度統一させなければいけないんです。けれどそうすると値下げ合戦になってしまう。だからお客さんに指名買いしてもらう豆腐になることを優先し、一時的に撤退したんです。」
ー代々ほとんどの売り上げを作っていたスーパーから撤退するとなると、かなり勇気がいる決断だったのではないでしょうか。
瑞慶覧さん「当時の営業部長にはかなり心配されましたね。けど僕は過去に福岡で飲食店をやっていた経験から、根拠のない自信があって。いいや、辞めちゃえ!という感じで、勢いで辞めました。(笑)自分たちが売る力さえつければ絶対に売れるんだ、という感じで。」
ー実際、売り上げはどうなったんですか?
瑞慶覧さん「今は移動販売8割、2割は飲食店に卸すということをやっているんですけど、売り上げは大幅に上がりました。」
ー移動販売がリブランディングの鍵を握っているのでしょうか?
瑞慶覧さん「はい。現在、池田食品の売り上げの大半は『移動販売』によるものなんですが、移動販売をして直接人を介して商品を売るので、商品や売る人のファンになってもらえることが多いんですよ。スーパーだと金額やパッケージなどで見て判断するしかないけど、移動販売ならこだわりなんかも伝えやすい。あと新商品を開発するとき、販売員が直接お客さんの反応を聞けるのもメリットです。」
現在は8台もあるという移動販売カー。
瑞慶覧さんは販売スタッフにいつも「自分の店舗だと思って販売してください」と伝えているという。移動販売スタッフは、固定給+歩合制にしており、販売員の方は「自分の店だと思って、商品の配置など工夫している」と話してくれた。
移動販売のほかにも、瑞慶覧さんは多くのことに挑戦し、三代目池田屋というブランドを築き上げていった。
- 財務を整え、売り上げ管理を徹底
- airレジの導入
- 従業員の所得水準UP
- 完全週休2日制にし、有休がとりやすい環境づくりを徹底
- 大豆や塩など、原材料の見直し
- 「豆腐屋」から「大豆加工研究所」に名称を変更し、商品を多様化
- 豆腐をアレンジした料理を提供する「Caféソイラボ」オープンのサポート(奥様が経営)
- サプリメントなど新商品開発の研究
- Tシャツ作り
- オフィスサービス
財務や雇用環境を改革しつつ、ブランディングのための原材料の見直しや商品開発、新たなジャンルへの挑戦など、成し遂げたことを振り返ると、様々な角度から挑戦し続ける瑞慶覧さんのチャレンジ精神が伝わってくる。
多くのことを変えていく過程で、唯一変えなかったのは『先代から受け継いだ製法』だと瑞慶覧さんは話す。
瑞慶覧さん「変えようと思った時期もありましたが、色々試した結果やはり先代から引き継いだ製法が時間はかかるけどいいものができる、と実感し、残すことに決めました。『生絞り地釜炊き』という炊くのに50分くらいかかる製法で豆腐をつくっているんですけど、ボイラーだと15分でできる過程をあえてじっくり炊くことで、風味がある美味しい豆腐が完成するんです。」
変化を恐れず挑戦し続けながらも、大事にするべきものは残すという選択をし続けてきた瑞慶覧さん。
そして今回、猛威を振るうコロナ禍をうけ、現在も新たな挑戦を試みているそうだ。
コロナ禍における施策!在宅で毎日新鮮な豆腐が食べられるサブスクリプションサービス「毎日SOYまーる」
実は以前から、BtoBを対象に行っていた「毎日SOYまーる」。オフィスに冷蔵庫を設置し、そこで働く従業員が冷蔵庫内の豆腐製品を欲しい分量だけ課金して購入できるというサービスだ。(現在はサービスを休止中。再開は未定)
そして今回この「毎日SOYまーる」をBtoC向けにアレンジし、サブスクリプションサービスとして展開予定だと話す。
ーどういったサービスなのでしょうか?
瑞慶覧さん「まずご契約いただいた方の自宅に、オリジナルの保冷ボックスを設置します。そのボックスに好きな商品に●をつけた注文書を入れていただけば、毎週注文書をスタッフが確認し、商品を保冷ボックスに入れておくというサービスです。」
ー希望商品を選べるんですね!(それは嬉しい)お値段はおいくらなんでしょうか?
瑞慶覧さん「希望商品を注文する形なので商品によって価格は変わりますが、最低金額は月額3000円~に設定しています。」
ーこれは嬉しいサービスですね!感染予防にも大事とされる免疫力のアップにも繋がりそうです。ちなみに初期費用はかかりますか?
瑞慶覧さん「初期費用は、入会・設置費もすべてなし。無料です。」
ーなんと!ちなみに契約は半年以上など縛りはあるのでしょうか?めちゃくちゃ契約したいんですけど、半年以上豆腐を食べ続けられるか不安です。
瑞慶覧さん「特に決めていなかったんですが、そうですね!1か月でも解約可能にしましょう!」
ーありがとうございます!!
・・・ということで、筆者はこのサブスクリプションサービスを利用することにした。(個人的な質問の数々、すみませんでした)サービススタートは5月14日を予定。告知は公式Facebookにて行うそうだ。気になる方はチェックしよう。
https://www.facebook.com/ikedasyokuhin
新たな挑戦を続ける三代目池田屋。これからも時代にあわせた展開に目が離せない。ちなみに「三代目池田屋」がブランド名で、「有限会社池田食品」が法人名だ。豆腐を買う際は、三代目池田屋のブランドロゴを目印にしよう。
◆三代目池田屋(有限会社池田食品)公式サイト
https://ikedasyokuhin.com/
投稿者プロフィール
三好 優実 - 2020/05/11
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