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東京と沖縄の2拠点生活
1年の育児休暇を経て辿り着いた、うちなーパパのワークライフバランス

2021年09月10日

ソーシャルプロデューサー 石川 廉さん

「結婚て良いもんだ」
「パートナーがいるから、お互いに安心してアクセルを踏める」
そう笑顔で語るのは、2人のお子さんを育てながら沖縄で働く、石川廉さん34歳。

今年の12月には、3人目が産まれる予定だ。
2018年に長男が産まれたときに1年の育児休暇をとった石川さん。その後も、夫婦で試行錯誤しながら子育てと仕事に取り組み、自身の働き方を見直してきたそうだ。
育児休暇を1年とったことで夫婦の絆もより深まり、収入全体も上がったという石川さんの、〝セルフ働き方改革〟についてお話を伺った。

◆育児にコミット

石川さんは、子育てにまつわる社会問題を解決する認定NPO法人フローレンス(以下、フローレンス)の社員として働いていた。

フローレンスでは、障害児保育に関する事業や、広報を担当。
男性の育児休暇取得率100パーセントの会社なので、育児休暇を取ること自体へのハードルは低かったようだ。
しかし、1年もの期間、育児休暇を取る男性職員はほとんどおらず、周りにも育児休暇を1年とる友人はいなかったという。

「子育てって、パパだけでなくママも初めての経験。親になってみないと分からないことが沢山あるはずなので、そこを夫婦で試行錯誤して乗り越えていきたかった」
と、話す石川さん。

当時は、育児にコミットしたいという想いが強かったそうだ。
そして、2人の故郷である沖縄で子育てをしたいという夫婦の合意により、仕事場=東京と、子育ての場=沖縄との2拠点で生活するという選択した。

育児にコミット

◆2拠点生活

子どもと奥さんは沖縄に住み、石川さんは仕事で東京を行ったり来たりの2拠点生活。
沖縄では、空き家だった妻の祖母の家に住むことに。

そして東京では、11LLDDKKという見慣れない間取りのシェアハウスに住むことになった。

「シェアハウスに住むと言うと、恋愛がテーマの某テレビ番組を連想してみんなに驚かれます。
でもテーマは恋愛じゃなくて家族。

このシェアハウスは、共に暮らして共に働こう、というコンセプトのコミュニティで〝Cift〟という名前がついています。
〝拡張家族〟という共有意識を持つ複数の家族が集まって生活をしていて、構成や職業もさまざま。独身、既婚、シングル、サラリーマン以外の職業の人もたくさん住んでいて、いろんな価値観に触れることができるので、〝こうでなくてはならない〟という常識のヘッドギアが外れます。
それが新しい仕事に繋がったりして、お互いが良い刺激になっていますね。

0歳児から中学生の子どもが数人いますが、子どものお世話を親以外の大人がすることも普通あります。子ども達にとっても、自分の家族だけで生活していたら出会わない人と関わることができて、良い経験になってるんじゃないかと思います」
と、石川さんは話してくれた。

助けてほしいときは頼り、だれかが困っていたら手を貸す。
それは家族にするときと同様にお金のやり取りナシで行われており、資本主義を超えたような新しい価値観をつくりだそうと、このシェアハウスで実験しているような感じだ。

石川さんは、子どもは血縁家族だけでなく地域や社会で育てたいという想いがあったので、〝拡張家族〟は子育ての場としても心強い存在になっているようだ。

2拠点生活

選択肢を増やすことで、良い意思決定ができる。人生の豊かさは、選択肢の多さによるものが大きいと考える石川さん。夫婦で話し合って決めた2拠点生活という選択は、今後どのような選択肢を生み出すのだろうか。

◆1年の育児休暇を振り返って

長男誕生から1~2ヶ月は、家事育児で精一杯だったが、半年くらい経った頃から工夫して時間をつくることができ、仕事をする余裕がでてきたという。

石川さんは、
「子育ての大変さは、やってみないとわからない。仕事よりもめちゃめちゃきつい。

独身の頃のように、潰れるまで飲んだり、長時間残業する、みたいな時間の使い方じゃもたないので、何事も選択と集中。無駄な仕事はしないように、自分のやるべきこと・やりたい事に集中して取り組むようになりました。

ときどき、育休前に戻りたいと思うこともありますけどね。(笑)いまより3倍は仕事できると思う!」
と、笑顔で話してくれた。

石川さんは、「子育ての大変さは、やってみないとわからない。仕事よりもめちゃめちゃきつい。独身の頃のように、潰れるまで飲んだり、長時間残業する、みたいな時間の使い方じゃもたないので、何事も選択と集中。無駄な仕事はしないように、自分のやるべきこと・やりたい事に集中して取り組むようになりました。ときどき、育休前に戻りたいと思うこともありますけどね。(笑)いまより3倍は仕事できると思う!」

「日本の育児休暇制度は世界と比べてとても充実しているので、積極的に育児休暇をとるべきですね。

そして、育児休暇は1人目で取ることが重要。
2人目・3人目ではママのルーティーンが出来上がっている場合がほとんどなので、パパは指示待ち人間になってしまう可能性が高い。

1人目で、ママも初めての育児を一緒にどう頑張るかで、長い目で見たときに夫婦関係で大きな差が出ます。
夫婦関係の研究結果として、こんなグラフもあります。

女性の愛情曲線

子どもの誕生後、どうしても下がってしまう妻から夫への愛情が、回復するグループとそのまま下がってしまうグループがあります。
詳しくは産後クライシスという本に書かれているのですが、僕も第1子出産前にこの本読んで、襟を正した過去があります(笑)」
と、教えてくれた。

「結婚すると不自由になる」
と、先輩達に言われ、結婚にネガティブなイメージを持っていた時期もあったそうだが、
「飲み会に行きにくくなるとか、スケジュール共有しなきゃとか、たしかに縛られる部分もありますが、それ以上にメリットの方が大きい。
結婚して良かった。
妻が何かに挑戦したいと言ったら応援するし、僕が何か新しいこと始めたいと言ったら応援してもらえる。お金という面でも、子育てという面でも、隣に協力な相棒がいると心強いですよね。
パートナーがいるから、お互いに安心してアクセルが踏める感じ。ほんと、結婚て良いもんだなぁ」
と、しみじみ。
石川さんご夫婦の仲の良さが伝わってきた。

「飲み会に行きにくくなるとか、スケジュール共有しなきゃとか、たしかに縛られる部分もありますが、それ以上にメリットの方が大きい。結婚して良かった。妻が何かに挑戦したいと言ったら応援するし、僕が何か新しいこと始めたいと言ったら応援してもらえる。お金という面でも、子育てという面でも、隣に協力な相棒がいると心強いですよね。パートナーがいるから、お互いに安心してアクセルが踏める感じ。ほんと、結婚て良いもんだなぁ」と、しみじみ。

◆働き方を変えてみた

2020年には2人目のお子さんも誕生し、石川さんは更に子育てに励むようになった。

「子育てに時間を費やしたいな、と思うんです。
例えば保育園に連れて行くのにも、仕事の時間が迫っていたら子どもを急かしてしまうけど、時間にゆとりがあれば、子どもの話を聞いたり遊びにつきあって、気持ちを満たしてあげてから〝いってらっしゃい〟を言うことができる。
そして、お迎えまでの限られた時間で、集中して仕事するようにしてます」

昨年から続く新型コロナの影響もあり、フローレンスの仕事はリモートで行っていたもの、完全に出勤をなくすことはできず、毎月のように東京に通っていた石川さん。

「時間や場所に捉われない働き方をしたい」
と、2020年10月、石川さんはフローレンスの社員ではなく業務委託として働くという選択をし、沖縄に完全移住。

「業務委託なので就業規則はなくなり、成果が重視されるようになります。
効率良くできれば時間は短縮されるので、同じ給料で働く時間が半分になった感覚。これって給料2倍もらっているのと同じようなものですよね。

余白ができた事で、自分のやりたい事や、今後の収入に繋がる事をできるようになったので、働き方を変えて良かったと思います」
と、現在の働き方に手応えを感じている様子。

今年の秋頃には会社設立も考えているようで、「県内のパパママ全ての親が、子どもとの時間と両立できるようなサービスや仕組みをつくりたい」と話してくれた。

「結婚して良かった。育児休暇を1年取って良かった。」石川さんの心からの声だ。

「結婚して良かった。育児休暇を1年取って良かった。」
石川さんの心からの声だ。

2拠点生活と1年間の育児休暇を経て辿り着いた現在の石川さんの生き方は、以前よりももっと輝いて見える。
きっとこれからも、変化を続けながら進化していくに違いない。


\子育てと仕事の両立について発信中/
石川廉さんインスタグタム
https://www.instagram.com/coco_daddy.okinawa/

石川廉さん

取材:翁長
写真提供:石川さん

投稿者プロフィール

翁長奈七
翁長奈七
沖縄県那覇市出身。二児の母。
沖縄の子育てを応援するフリーマガジン「たいようのえくぼ」と、その姉妹冊子・沖縄の部活動を応援するフリーマガジン「たいようのFight!」のデザイナーを務める。
県内向けおでかけ情報サイト「ちゅらとく」ライター。

翁長奈七 - 2021/09/10