場をつくるファシリテーションとは?子供たちに自然を伝える「ホールアース自然学校沖縄校 がじゅまる自然学校」代表の小林さんに話を聞いてきた
2019年01月10日
Tweet『沖縄の自然・文化を通して豊かな心を育てること』を目的とし、修学旅行生や旅行客に対し、自然体験活動や人材育成業を受託している「ホールアース自然学校沖縄校 がじゅまる自然学校(以下:がじゅまる自然学校)」
沖縄の環境問題に向き合いながら、子どもや旅行客に対し、自然との関わり方を教えてくれる団体だ。そんながじゅまる自然学校の代表である「小林政文(こばやし まさふみ)」さんにファシリテーションのポイントを聞いてきた。
ファシリテーションに大事なのは「場をつくること」。自然教育を通して小林さんが心がけること
修学旅行生の中には、自然に興味が持てず、嫌々参加する人もいるだろう。全員に自然の大切さを知ってもらうには、どういうやり方で体験学習を行うのかを尋ねたところ、「全員見捨てないこと」を何より大事にしていると小林さんは話す。
「皆を巻き込むことは意識しています。“学習”というと、教師側が子どもたちに、決まったものを見せて決まったことを教えるというイメージかもしれませんが、そうじゃなくて、上下関係ではないフラットな関係を目指しています。体験学習をやる・参加させる、ではなく、“一緒につくる”がうちのモットーですね。」
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ルートや流れなど、大まかなものはありつつも、その時のメンバーによって都度子どもたちと一緒につくっているという。そうすることによって、体験者の好奇心や自然への関心を引き出そうとしているのだ。
だが、旅行客はともかく修学旅行生となると、全員に楽しんでもらうのは難しいのではないだろうか。
ー全然積極的じゃない「早く終われ」な人に対してはどう接していますか?
「その人がどういう態度を示しているかをしっかり観察します。“何が問題なのか”を探り、仮説を立てて、小石を投げて、波紋の広がりを見る。そしてまた、仮説を立てて小石を投げての繰り返し。探り続けることで、見えてくるんです。もしかしてこうなんじゃないかな?って。そこからふざけてみたり、『これ、冷たいと思う?冷たくないと思う?』とか質問したり、色んな手を使ってどうにか心を開いてもらうように頑張ります。」
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大人も子どもも、すぐに出てくる言葉はうわっつらだと小林さんは言う。すんなり出てくる言葉ではなく、『本当のところはどうなのか』に目を向け、必要であれば何度も同じ質問をする。そうすることで、本当の心が見えてくるのだそうだ。
「僕は性善説を信じているんですよ。どんなに強がっていても、どんなに自然に興味を示してくれなくても、こちら次第だと思うんです。教える側の接し方や雰囲気が大きく影響する。だからどんな子どもも見捨てず、探り続けるようにしています。それを頑張っていたら、来た時と帰るときの子どもの考え方が変わっているんです。それが喜びですね。」
環境教育とは、自然の知識を教えることではなく、自然に対しての見方を変えてもらう活動だと小林さんは言う。
「“今日楽しかった”は変わる一歩なんです。環境教育は階段だと思っていて、まず好奇心を持ってもらい、自然への意識が変わった状態で帰ってもらう。そうすることで、自然に興味が湧き、普段の暮らしの中で、自然との接し方が変わると思うんです。その第一歩として、自然体験があるのだと思っています。“こいつの言っているこの話分かる”“楽しかった”から自然に対して興味を持ってもらえればと思っています。」
■小林さんにとって「自然」とは
「自然や環境から与えられるものの本質は、発見と成長です。沖縄に来る人は、海とか景色とかの“自然”を見に来ていると思うんですけど、それなのになぜ自然を大事にしないの?っていう、当たり前のことに改めて目を向けてもらいたいと思っています。」
自然に目覚めたのは、ノストラダムスの大予言がきっかけだったという小林さん。地球滅亡を恐れると同時に「防がなければ」と考え、それをきっかけに環境保護や大気汚染などの知識を深め、自然活動を行うようになったそうだ。
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「沖縄の豊かな自然は守られるべき宝だと思っているんです。そんな自然を通して、子どもたちと自然の距離がもっと近くなればいいと思うし、実体験を通して、豊かな心を育てることが、未来のためにもつながっていると思います。」
自然と人との関係において、すべての人が自分事に捉えることが大事なのだ。自然の存在を「自分事」にする第一歩を若い人に伝えている小林さんは「『代表』とは、代わりに表に立つ人」だと、教えてくれた。人が生きる上で大切なこと、沖縄にとって大切にすべきものを考え、伝えていくことの大切さを改めて知る機会となった。
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投稿者プロフィール
三好 優実 - 2019/01/10
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