TOPスポーツ沖縄のバスケットボール専門情報誌『OUTNUMBER』に込められた、カナヤクション・金谷康平さんの想いと挑戦
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沖縄のバスケットボール専門情報誌『OUTNUMBER』に込められた、カナヤクション・金谷康平さんの想いと挑戦

2018年12月21日

12月21日はバスケットボールの日だという事をご存知だろうか。
このバスケットボールの日を特段楽しみにしている人物がいる。

沖縄のバスケットボール専門誌『OUTNUMBER』を立ち上げた、金谷康平さんだ。

OUTNUMBER創設者 カナヤクション代表 金谷康平

金谷さんのルーツ

金谷康平さんは、東京生まれ東京育ち。母親が沖縄県出身でよく沖縄を訪れていた為、自分のルーツが沖縄にあることや沖縄の歴史について興味を持っていた。
金谷さんが小学生の時に沖縄へ訪れた際、祖母から聞いた話が衝撃的で忘れられない。

昭和19年(1944年)の祖母がまだ小学校3年生だった頃、対馬丸で九州へ疎開予定だったが、出発前夜に泣き喚いて疎開を拒否。祖母は対馬丸に乗らずに生き延びたが、祖母の兄と姉は対馬丸に乗った為に沈没し亡くなってしまったという。その話を聞いた当時小学生の金谷さんは、子どもながらに生と死は紙一重なんだということを感じたそうだ。

「やりたい事はやったほうがいい、やらないと気が済まない性格も、この辺からきているのかもしれない」
と、金谷さんは話してくれた。

カナヤクション代表 金谷さんのルーツ

転機

結婚、子育てを機に2015年春から沖縄へ移住した金谷さん。
法律関係の職場で、目標達成に向けて燃え日々奮闘していたが、頑張りすぎた結果、体調を崩してしまった。

「逝ってしまいそうだった。恐ろしかった。踏み入れてはいけないところまで入ってしまって戻れなくなりそうで、目の前が真っ暗になりかけて。ここで終わりたくないと強く思った。会社での立場、夫としての立場、父親としての立場など、いろんなものに縛られていたんだとわかった。
死を意識したことで、一度リセットして考えることができたのが転機になった。やりたい事をやるのに迷いもなくなった」

そこから、金谷さんの人生をかけた挑戦が始まった。カナヤとアクションの造語で、カナヤクションという屋号も構えた。

バスケ好きのバスケ好きによるバスケ好きのためのローカル情報誌

小学校5年生からバスケットボールを始め、中学、高校、大学でもプレイヤーとして活躍していた金谷さん。
中学2年生時の1997年12月26日、ウインターカップで北谷高校と能代工業の試合を観戦し、衝撃を受けた。
この試合、当時最強と言われた能代工業を相手に、善戦を繰り広げた沖縄県代表の北谷高校。そのプレースタイルから、沖縄のバスケットボールの魅力と可能性を感じたという。その試合が、金谷さんにとって今でも人生のベストゲームになっている。
琉球ゴールデンキングスが創設されてからはプロバスケットボール観戦もライフワークとなり、バスケットボールは金谷さんにとって人生の一部だ。

「かねてより、どこかのタイミングで『沖縄のバスケットボールコートガイド』を作って売ろうと思っていた。大衆に受けなくても、自分みたいなマニアックな人にはすごく受けるだろうという考えもあった。コンビニで沖縄の釣り情報誌を見つけたとき、釣りが成立するならバスケットボールも成立するはずだ、コートガイドではなくて沖縄のバスケットボール専門の情報誌を作ろうと思った」
そこからは、情報をかき集め、出版に必要な資金や人材、ネットワークの構築に汗を流した。

『沖縄のバスケットボールコートガイド』を作って売ろう と思っていた。、コートガイドではなくて沖縄のバスケットボール専門の情報誌を作ろう と思った。

OUTNUMBERへの想い

情報誌はマガジン形式で考えていたが、タブロイド版であれば今年すぐにでも出せるのではないか、と考えた金谷さん。

「いきなり富士山ではなくて、高尾山から行こう的な発想で。ゆくゆくは雑誌のかたちにする予定だが、今できる方法があるならそれでいこうと判断した」。
知り合いのライターやデザイナーに協力を仰ぎ、試行錯誤の末に2018年10月、タブロイド版の沖縄のバスケットボール専門情報誌「OUTNUMBER」を創刊した。
「OUTNUMBER」はバスケットボールの専門用語で数的優位を意味する。
発行部数で優位になるという意味も込められているが、速攻を得意とする沖縄の特有のバスケットボールスタイルも名前の由来になっている。

金谷さんは「出版に関する知識や常識は持っていなかったので、とにかく出来る方法で出来る事をやった。バスケットボール専門の情報誌をはやく世に出したいという想いで突っ走った。問題点はたくさん出てくるけど、まずは世に出すことだけを心がけて取り組んできた」と創刊までの道のりを振り返る。

「OUTNUMBER」は沖縄県内だけでなく日本全国での販売を目論んでいる。
「日本全国の沖縄県民、バスケットボールファンに届けていきたい。ローカルなバスケットボールジャーナルは沖縄発だが、同モデルが日本中で増えて欲しいと思っています」と、金谷さん。
バスケットボール専門のローカル誌は日本初。
「OUTNUMBER」が、オリオンビールや35コーヒーのように、沖縄の人々にとっておなじみの存在となることが今後の目標だという。

「OUTNUMBER」が、オリオンビールや35コーヒーのように、沖縄の 人々にとっておなじみの存在となることが今後の目標だという。

バスケの日

12月21日は初めてバスケットボールの試合が行われた日として、バスケットボールの記念日になっている。
バスケットボールは、ジェームス・ネイスミス博士が冬場でも学生が安全に取り組めるようにと考案した平和的なスポーツ。
金谷さんは「日本で一番、平和についての意識が高い沖縄だからこそ、バスケットボールを通じて平和を感じ、感謝できる風土があると思う。沖縄を平和の発信地、バスケットボール王国として発展させていきたい」と熱く語る。
大きな夢と目標に向かい、金谷さんの挑戦は始まったばかり。今後もカナヤクションと「OUTNUMBER」に注目していきたい。


【OUTNUMBERブログ】
https://outnumber.ti-da.net/

【OUTNUMBER公式HP】
https://outnumber.themedia.jp/

翁長奈七 - 2018/12/21