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沖縄からプロ野球選手を目指す!
「本気のクラブ活動」vs「家庭の財政」のホントのところ

2019年05月12日

沖縄からプロ野球選手を目指す!「本気のクラブ活動」vs「家庭の財政」のホントのところ

 今回インタビューに応じていただいた上原綾乃さんは大の野球好きで、自他ともに認める野球一家。

長男の上原敦己君は、2019年春より四国独立リーグの徳島インディゴソックスへ入団。次男の律己君も、父が監督を務める中学硬式野球チーム・沖縄中央ポニーで日々野球に取り組んでいる。
長年にわたり保護者としてチームを支え、母として息子二人を支えてきた上原さんに、プロ野球選手を本気で目指すことと、家庭経済の実際についてお話を伺った。

翁長
クラブ活動の中でも、野球はお金がかかるスポーツだというイメージがあるのですが、実際はどうですか?
上原
正直、お金はかかります。とっても。

軟式から硬式に変わるときには道具も一式揃え直さなければならないし、ユニフォームや練習着にしても、手袋やソックスなど細々したものが多いです。

なので、最初に長男が野球をやりたいと言い出したときは、「絶対やめない、一生懸命やる」ということを約束しました。その約束通り、一度もズル休みをしたことはないし、毎日欠かさず素振りもしていました。

翁長
毎日欠かさず、とはすごいですね。敦己君が野球を始めたきっかけは何だったのですか?
上原
まず、私が野球好きだったので、2000年に長男を出産したときに「この子が高校3年生、最終学年の時に甲子園100回大会だ!」と気づき、息子を甲子園球児に育てるのが夢になりました。

親戚、家族みんな野球が好きだったので、自然な流れで本人から「野球をしたい」と言い出しました。野球を本格的に始めたのは小学校1年生のときです。

長男は体格にも恵まれたこともあって、小学5年生頃から各高校のスカウトが見に来てくれていました。野球を始めた頃からプロ野球選手が夢でしたが、スカウトの目にとまるようになってからは、より現実的にプロを目指すようになったと思います。

翁長
中学卒業後は、熊本県の秀岳館高校へ進学したそうですが、何が決め手になったのでしょうか?
上原
縁と運とタイミングです。

実は、数年にわたり何度もお話をさせて頂いたY高校と繋がりがあり、そちらへの進学を真剣に考えていました。

そんな中、中学3年時の九州大会でノーストライクスリーボールからヒットを打つなどの大活躍。その大会を見に来ていた秀岳館の方からスカウトのお話があり、その時に初めて秀岳館高校が選択肢に加わりました。秀岳館の鍛治舎監督(当時)の考えにも共感して、長男本人が秀岳館への進学を希望するようになりました。九州大会前は考えもしなかった進路だったので、まさに縁と運とタイミングだなぁと実感。

県内の高校からもお誘いの声はありましたが、特待生であることや本人が希望したことも決め手となり、秀岳館へ進学させました。

翁長
進学に関する経済的負担は大きいと思います。大変だったのでは?
上原
授業料や部費、支払い方法に至るまで高校毎に様々で、とてもじゃないけど(経済的負担が大きすぎて)進学できそうにない高校もありました。
野球を始めるときに親子でしっかり話し合って「子どもも頑張るし親も全力でサポートする」と、覚悟を決めていたので、うちも経済的に余裕があるわけではないですが、一生懸命働いて野球を続けさせてきました。

ただ、野球をするために大学進学させる経済力はなかったので、高校を卒業後はプロを目指して野球に打ち込むか、大学に行きたいならバイトと勉強に打ち込むか、どっちかにしなさいと本人に伝えました。
長男は野球に打ち込む方を選び、ご縁があった四国独立リーグの徳島インディゴソックスへ入団することができました。

上原「入団するにはNBP(セ・リーグ、パ・リーグを統括する一般社団法人 日本野球機構の略称。)と同じくプロ志願届けを高野連に提出、独立リーグのドラフト会議で指名されたら入団できるので、職業はプロ野球選手になります。契約金がないことが大きな違いで、その他は一般的なプロ野球と同じです。ファンをつくって、球場に呼び込むにはどうすれば良いかを考えつつ、日々野球に打ち込む。四国独立リーグの徳島インディゴソックスは、8年連続でNPB選手を輩出しているので、上を目指すには良い環境だと思います。企業スポンサーのもと、トレーニンングや身体のメンテナンスにも最先端の技術を取り入れていて、大学生の野球部では経験できないような事も経験できます。沖縄にも独立リーグができれば、優秀な野球人材も集まり、沖縄の野球界と経済の活性化に繋がると思います。」

翁長
独立リーグは、一般的なプロ野球リーグとどう違うのですか?
上原
入団するにはNBP(セ・リーグ、パ・リーグを統括する一般社団法人 日本野球機構の略称。)と同じくプロ志願届けを高野連に提出、独立リーグのドラフト会議で指名されたら入団できるので、職業はプロ野球選手になります。
契約金がないことが大きな違いで、その他は一般的なプロ野球と同じです。

ファンをつくって、球場に呼び込むにはどうすれば良いかを考えつつ、日々野球に打ち込む。
四国独立リーグの徳島インディゴソックスは、8年連続でNPB選手を輩出しているので、上を目指すには良い環境だと思います。企業スポンサーのもと、トレーニンングや身体のメンテナンスにも最先端の技術を取り入れていて、大学生の野球部では経験できないような事も経験できます。沖縄にも独立リーグができれば、優秀な野球人材も集まり、沖縄の野球界と経済の活性化に繋がると思います。

<徳島IS 上原敦己選手プロフィール>
http://www.indigo-socks.com/%E9%81%B8%E6%89%8B%E5%90%8D%E9%91%91/28_uehara/

翁長
沖縄に独立リーグができたら面白そうですね。敦己君のこれからの活躍も楽しみです。
次男の律己君も、中学硬式野球チームで頑張っているとの事ですが、大会遠征にかかる費用等はどのように捻出していますか?
上原
中学硬式野球チームは学校の部活ではなく、クラブチームなので、学校からの補助はほぼありません。なので、資金造成はよくやっていました。
出場が決まってから遠征の日まで期間があいている時は、タオルを作って販売したり、お菓子を販売したり。

子ども達の活動資金の為であれば通常の卸売価格よりも安価で提供してくれる店舗もあり、資金造成に協力的な企業の存在はとてもありがたかったです。遠征日まで時間がなく商品を用意できない時は、商品券などで資金集めをしていました。

翁長
自分たちで集める他に、経済的な補助はないのでしょうか?
上原
行政からの補助もあるにはあるんですが、市町村ごとに内容が全然違うんです。

ある市からは一切補助が出なくて、ある町からは全額に近い額の補助が出ていました。半額出る地域、1年に2回まで出る地域など、市町村でさまざま。同じ沖縄で、同じチームで野球やっているのにどうしてこんなに差がでるのか、本当に不思議でした。

翁長
私も子育てをするようになってから、市町村での補助の違いを感じます!どうにか良い方向に変わって欲しいですね。
今だとクラウドファンディングという資金集めの方法もありますが、利用したいと思いますか?
上原
クラウドファンディングも良いと思います!今もし資金造成するなら利用したいです。
長男が入団した徳島インディゴソックスでもクラウドファンディングをやっています。資金集めという目的は同じなので、時代にあった手段を使うのは全然ありだと思います。

<徳島IS クラウドファンディング>
https://www.spportunity.com/tokushima/team/9/detail/

翁長
経済的な負担もそうですが、仕事や家事をしながら子ども達の送迎など、肉体的な負担も大きいと思います。ストレスが溜まったりしませんでしたか?
上原
子ども達の成長は、親次第だと思っています。
送り迎えが面倒だとか文句を言うようなら、子どもの成長もそこまで。

私達の場合は、それぞれが自分のやりたいことをやっているから、お互い応援する気持ちが持てたと思います。親の所得格差が教育格差、とよく言われていますが、本当にその通りで。子ども達が頑張るなら、親も一生懸命働いて支援する。これに尽きます。

翁長
上原さんのお話を聞いて、私も頑張って働いて子ども達のサポート頑張ろうと思いました。ありがとうございます。
今後の目標などあればお聞かせください。
上原
長男に引き続き、次男も甲子園出場を果たして欲しいと思っています。兄弟で甲子園出場!が、いまの私の願いです。
子ども達も頑張っているので、私も全力投球でサポートしていきたいと思います。

長男に引き続き、次男も甲子園出場を果たして欲しいと思っています。兄弟で甲子園出場!が、いまの私の願いです。 子ども達も頑張っているので、私も全力投球でサポートしていきたいと思います。

翁長
大変だと思いますが、応援しています。
「それぞれが自分のやりたいことをやっているから、お互い応援する気持ちが持てた」とお話されていましたが、上原さんの「やりたいこと」とは?
引き続き、お話を伺いたいと思います。

───次回は上原さんが代表を務める「沖縄キレイ☆ママサークル」の活動について、詳しくお話を伺います。

翁長奈七 - 2019/05/12