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家庭に井戸を持とう! 100億企業のトップを務めた若き起業家の挑戦

2017年07月26日

株式会社ユーファースト代表の大坪義和氏(以下、大坪氏)は興南高校出身。学生時代はハン ドボールに打ち込み、全国大会出場の経験も。高校卒業後は情報・通信業大手の「株式会社光 通信」に入社。新人ながらも営業トップの成績で、早くも頭角を表す。2016 年に地元沖縄で独 立。天然ウォーターサーバー宅配事業を立ち上げる。

入社1年目ながらもトップ社員に

「高校卒業間近のとき、同級生が『いい仕事があるから、一緒に面接受けようよ』と誘いがありました。乗り気じゃなかったんですけど、あまりにしつこいので『3日だけな』と面接を受 けたんです、結局は20年以上勤めたんですけど。」

当時、携帯電話販売の先駆けである「株式会社光通信」の沖縄支社にアルバイト入社。いわゆるベンチャーの若い会社であり、成績次第で年齢関係なく出世できる、実力主義の会社だったという。

「今から20年近く前、携帯電話がアナログからデジタルに変わる頃ですね、cdmaOne(シーディーエムエーワン)やi-mode(アイモード)などが出る前。サイズも一回り大きく、通話料金は月額3万〜4万円くらいでしたかね。所有してる人も少なかったので、とにかく売る事だけ考えていました。」

懸命な営業努力が実り、入社して数ヶ月ながらも、200名在籍の西日本エリアでもトップの営業成績を打ち出した。当時を振り返ると、社会人1年生ながらも、顧客のためにベストを尽くしていたという。

「とにかく、『お客さんのために何をやればいいのか?』と考えてました。当時は携帯の使い方がわからない人が殆どだったので、『あとで直接届けて、使い方も教えますから』と約束して契約してもらってたんです。でも、社内のルールとしては、契約後には商品郵送していて、僕も上司からそうするように指示されたんですが、『僕はお客さんに直接お届けして、使い方も教えますと約束して、受注いただいたんです。』と上司に反論し、上司に折れてもらった事もありましたね。」

やがて、アルバイトから社員へと、そして管理職へと順調に実績を重ねていった大坪氏は、若干21歳で沖縄支社長となり、年収も1000万近くとなっていたという。その後の配置転換で 沖縄を離れ、関西・関東・中国地方・九州と、日本各地を飛び回り、各エリアの責任者として経験を積む。

「20代後半くらいから、会社の方針が変わって『これからは地域密着だ』ということで、首都 圏での展開から地方進出にシフトしていきました。」

関連会社の社長として宮崎に赴任。助成金や地元企業の出資を受け、地域密着型の会社を設立する。宮崎での実績が認められ、福岡に出向。株式会社イーサポートの役員を経て、代表取締役を7期務める事となる。同社は2012年にグループ連結売上高100億円を突破した。

 

震災をきっかけに見出した、“水”の可能性

2016年福岡に在籍中、九州・熊本震災が起きた。当時の同僚や取引先の多くが熊本におり、救援物資届ける事となった。

「救援物資を送るとき、『とりあえず食料を』とカップラーメンを送る人も多いと思うんですけど、本当に必要なのは『水』なんです。トラックを数台レンタルして、福岡から水を持って行くために、2lボトルを買おうとしたら、普段26円だったのが、いきなり200 円に値上げですよ。信じられないですよね。」

結局は値上がりしたボトルを購入し、福岡だけでは量が足りず、水の補給に佐賀と長崎にも渡った。被災地に着き、苦労して集めた水は数分のうちに補充され、その後4〜5回は往復したという。

「改めて『水って凄いな』と思いました。ライフラインにおいて、電気、ガスが止まったら不便にはなりますが、水が無いと生きていけないじゃないですか? あらゆるライフラインの中で水が最優先なんです。」

熊本は、良質な地下水が豊富な反面、各家庭へのウォーターサーバーの普及率が低かった。この時、後の主力商品となる「プレミアムウォーター」の工場が熊本の南阿蘇にあり、地震の影響が少なかったため早い段階での復旧により、被災地への水の支援を積極的に行っていた。

「いつかは独立を」と考えていた大坪氏、熊本震災で経験したことと、入社当時を振り返り、こう語る。

「社会人1年目の時から、会社から『あなたたちの定年は35歳です。それまでビジネスの能力を磨くか、キャッシュを蓄えなさい』といわれ、もともと社員の独立意識は高い会社だったんです。僕も30歳前後には起業する予定でしたが、8年遅くなりました。」

同年9月、株式会社イーサポートの代表取締役を退任。11月に沖縄に戻り、「株式会社ユーファースト」を設立。天然ウォーターサーバー宅配事業を始める。

 

ウォーターサーバーの普及が全国一の沖縄。“本当に価値あるもの”を提供したい

今でこそ「水は買って飲むもの」という概念が定着し、ここ20年で一人当たりのミネラルウォーター消費量が約4倍にも増えている(※注1)

沖縄において、どの商品にニーズがあるのかリサーチしたところ、ウォーターサーバーの普及率が全国一である事がわかった。

「地元で起業するにあたり、まずは、沖縄県民に必要とされて、提供できるものは何かと考えると、『健康』かなと思いついたんです。少し前までは、沖縄=長寿のイメージがありましたが、今では平均寿命のランキングが下がって、不健康まっしぐらじゃないですか(笑)そのための『良質な水を飲むこと=健康に近づくこと』だと思いました。」

余談だが、ウォーターサーバー以外にも、ハンバーガーの消費量も全国一で、さらにいうと沖縄の肥満度はワースト1。水やサプリメントなどで「健康」に気を使う反面、飲酒や暴食などで「不健康」に近づいていっている。両極端のモノにお金を使っている県民性だと分かり、より「健康」に近づけたい思いもあるのだとか。

「沖縄でも、水にお金を使う方が増えてますよね? でも、そのほとんどが、工場で加工されている『ミネラルウォーター』です。プレミアムウォーターは、天然のミネラル成分が含まれている『ナチュラルミネラルウォーター』いわゆる『天然水』と呼ばれているものです。いずれは水の消費は天然水が主流になるんじゃないかと考えているんです。でも、輸送コストの問題があり、どこの大手メーカーでも天然水の流通が沖縄では出来てない現状なんです。その点、弊社のプレミアムウォーターにおいては、いかに低コストで良質な天然水を流通できる仕組みづくりのために、取り組んでいきます。」

日本は水源が豊富で、全国的に天然水のビジネス展開をしている企業も多いが、「水」そのものの比較対象が難しく、競合他社も多い。加えて、輸送コストが価格に直結し、とくに沖縄や北海道などの遠隔地への流通においては、大手企業が二の足を踏んでいる現状だからこそ、販売力が勝負の鍵だという。

大坪氏のこれからの展望としては、「地産地消」を考えており、沖縄の水源を使った天然水の流通も考えているのだとか。「九州・熊本の震災でも目の当たりにしましたが、『備蓄水を置くことで家庭に井戸を持つ』ことにより、何かあったときに安心ですよね。良質の天然水で健康も保てますし。また、プレミアムウォーターの売上で、採水地でもある南阿蘇の被災地支援にも繋がりますし、サイクルとして綺麗ですよね。

【プロフィール】
大坪 義和(おおつぼ よしかず)
沖縄県浦添市出身 株式会社ユーファースト代表取締役 1997年株式会社光通信沖縄営業所へ入社。沖縄営業所所長を経て全国各地を飛び回り、関西営業部次長、関東営業部部長などを歴任、2010年株式会社イーサポート代表取締役に就任する。2016年9月、株式会社イーサポート代表取締役を退任し、沖縄に帰郷。同年11月に株式会社ユーファーストを設立。

(※注1)一般社団法人日本ミネラルウォーター協会の資料より
http://minekyo.net/publics/index/5/

【詳細】
プレミアムウォーター http://natural-water.okinawa/

編集部 - 2017/07/26