物流業界に革命・CBcloudの挑戦
2018年07月06日
Tweet2018年3月、琉球銀行と沖縄タイムス主催の『スタートアッププログラム』DEMODAY。ITとアイディアで沖縄の未来を切り開く会社として、株式会社CBcloudが登壇した。そこで発表された内容は、日本の物流業界を大きく変えようとするものだった。
物流業界の課題
例えば、居酒屋でビールの在庫が切れてしまったとする。予想以上に繁盛してきたため、至急ビールを仕入れたい。居酒屋はビール会社へ注文の電話を入れる。注文を受けたビール会社は、すぐに運送会社へ連絡。しかしなかなか繋がらない。やっと繋がった運送会社は更に下請けの運送会社へ連絡し、空いているドライバーを探す。
それが繰り返され、やっとドライバーが見つかりビールを届けた頃には、お店のお客さんは帰ってしまっていた。お店は貴重な販売チャンスを逃し、届けたドライバーは下請けの下請けで安い賃金。物流業界はそんな、荷物を頼む側も運ぶ側も損をしてしまう問題を抱えていた。
2016年、CBcloud株式会社が、軽貨物マッチングプラットフォーム『軽town』を開発・リリース。荷物を送りたい人とドライバーを直接つなぐ唯一の配送クラウドソーシングを実現。法人荷主とドライバーを直接繋ぐ事で、今までロスしていた時間とコストが解消された。
2017年にサービス名を『PickGo』に変え、法人だけでなく個人の配送も開始。貨物軽自動車運送事業の届け出(ナンバープレートが黒色の車両)がされており、 免許の保持・保険付保等行っている方であれば誰でも仕事が始められる画期的なシステムが構築された。現在では、ドライバー登録数も5,000名を超える急成長中のサービスとなっている。
このシステムを創ったのは、一体どんな人間なのか。今回はそのCBcloud株式会社の創業者、松本氏にスポットライトを当てる。
松本氏のバックグラウンド
CBcloud株式会社代表の松本隆一氏は、1988年生まれ、沖縄県那覇市首里出身。父親は塾を経営しており、大手予備校のフランチャイズオーナーだった。幼い頃からずっと父親が経営に携わる姿を見ていた松本氏。
高校生になった当時、自分も父のように経営に携わってみたい、一緒に事業を大きくしたい、と立ち上がった。その思いを原動力に、本やインターネットで自ら情報を集め、独学で授業配信システムをプログラミングしたのだ。松本がつくったこのシステムは本社でも高く評価され、今や全国で使われるシステムへと生まれ変わった。
学生時代から、問題解決能力に長けていた松本氏。高校卒業後は、航空保安大学校に進学。大学卒業後は国土交通省に入省し、航空管制官として羽田空港に勤務していた。羽田に勤務している頃、運送業を営む東氏に出会う。この東氏との出会いが、松本氏の人生に大きな影響を与えた。
義理の父、激動の2013年
東氏は、松本氏がお付き合いしていた女性(現在の奥様)の父だった。東氏は元々、車の修理や販売を行っており、今後、住宅地の中のコンビニやスーパーなどが増えるにつれて、小さな車での運送が必須になると予見していた。食品メーカーからの要望もあり、冷蔵・冷凍宅配が可能な小型自動車の製造・販売会社を設立。売り上げは順調に伸びていった。
東氏は、車を購入した人たちを幸せにしたいという想いが強く、物流業界の課題を自らの課題として取り組んだ。その結果、食品メーカーからの配送依頼をドライバーに振り分ける事業を行う会社を、新たに設立したのであった。
松本氏は、東氏がマンパワーで仕事の依頼を受け、振り分けるという作業を、どうにかシステム化できないかと考えた。過去に培ったプログラミングの知識を活かし、国土交通省に勤務しながら約1年かけて配送システムを構築した。
その後、東氏から「国土交通省を辞めて一緒に起業しよう」という誘いを受け、松本氏も「この人についていけば大丈夫だ」と感じ、国土交通省を退省。2013年8月に結婚し、同年9月に東氏は他界。
東氏が遺した会社と事業計画は松本さんが引き継ぎ、同年10月にCBcloud株式会社を設立した。事業を引き継いだ松本氏は、物流業界で働く人々の労働環境を良くしたいという想いが更に強くなっていった。
その想いが、ここまで会社を発展させてきたのだろう。気持ちが沈んでしまう時も、必死に働くドライバーの方々のためを思うと頑張れたという。
ドライバーの未来を考えた事業展開
PickGoに登録しているドライバーの方々は、個人事業主が多く、人材の宝庫でもある。現状、配送を依頼しているが、今後は清掃や販売など、様々なお仕事を提供できる場にしていきたい、と松本氏は今後の展開を話してくれた。
CBcloud株式会社では、6月18日に発生した大阪北地震を受け、被災されたドライバーへの支援や京阪神地域発着のスポット便を半額で提供するなど、社会的価値の高い活動を行っている。普通では会えないようなスペシャリストにも会える環境なので、就職を考えている学生や、キャリアアップを考えている方にはおススメの就職先だ。
代表の松本氏は、沖縄の学生に来てもらい「この会社でキャリアアップした後に将来Uターンして沖縄の経済を活性化してくれれば嬉しい。」と話してくれた。器の大きく、人間的魅力に溢れた松本氏の会社で働く事ができたら、大きく成長できるに違いない。
CBcloud株式会社HP: https://cb-cloud.com/
投稿者プロフィール
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沖縄県那覇市出身。二児の母。
沖縄の子育てを応援するフリーマガジン「たいようのえくぼ」と、その姉妹冊子・沖縄の部活動を応援するフリーマガジン「たいようのFight!」のデザイナーを務める。
県内向けおでかけ情報サイト「ちゅらとく」ライター。
翁長奈七 - 2018/07/6
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