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県内初!民間のうつ病特化型リワーク施設「株式会社BowL」とは?

2016年03月15日

BowL

 何かとストレスの多い現代社会、「うつ」という言葉を耳にする機会は決して珍しくはないだろう。あなた自身、または大事な家族や友人が、もし「うつ」なってしまったらどう向き合うだろうか?

 うつ病に特化したリワーク支援の福祉施設「株式会社BowL」は民間では県内初であり、全国でも数少ない存在だという。未経験で福祉事業に転身した、同代表の荷川取佳樹(にかどり よしき)氏にお聞きした。

「きっかけは部下や友人がうつ病を発症したこと」

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 もともと20年間、外資系保険会社で営業として第一線で活躍し、沖縄のみならず、全国で多くの部下の育成に取り組んでいた荷川取社長。その際、部下が離婚を機にうつ病を発生し、管理職としてフォローに回ったことが、初めてうつ病と触れる機会となったという。

 当時、沖縄で「うつ」を患ってしまった部下は県外出身者で、離婚後に孤立。「その方の実家は本土なので(県内では)身寄りがなく、上司である僕が付き添って病院に行き、先生との問診にも付き添いました。その当時、自分の他にも誰か支援してくれる人が居て欲しいなと思っていました。」

 それから数年後、今度は友人がうつ病を発症した。「月1で飲むような友人がうつ病で休職し、リワークプログラムに通い復職に向けて頑張っていて、その時に『リワーク(復職)』という言葉を知りました。

 リワークは通常、病院などの医療機関と障害者職業センターが行うもので、友人はそのプログラムに通ったのですが、半年でドロップアウトし、復職はうまくいきませんでした。」

 部下を支えるために奮闘した時の思いが頭をよぎる。復帰できるようになるまで、きちんと通えるような居場所が必要だと感じた。同時に、ずっと描いていた新しい方面での人材育成に携わりたいという思いも重なり、自分で施設を作ることを決意した。「友人が私の考えに賛同してくれたことも後押しとなりました。」

「0からのスタート、『ひと』と『ひと』との繋がり」

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 リワークを実施している施設を幾つか見て、人材育成の観点から見ると改善する余地があると感じた。ほとんどの施設が医療機関の運営。「民間でやるならどうすべきか? 」

 自分の求める学びがありそうな場所や人物の所には、肌で感じるため、必ず足を運んで学びに動いた。実際に調べてみると、わずかながら民間で運営している施設があった。何度か断られながらも粘り強くお願いし、施設を見学させてもらった。そこは医療機関ではなく、福祉事業を株式会社として運営していた。医療機関とは違うアプローチができ、福祉サービスも活用できる。「糸口が見つかった!」

 実際に施設を見学し、福祉を学ぶにつれて、どうしても早く事業展開したいという気持ちが強まっていく。「当時、部下を30名抱えていたのですが、退職してしまいました。裏切り者だとかいろいろ言われましたが、自分自身に嘘がつけなかったので。事業を成功させればわかってくれると思っていました。」

 それからの行動は早かったが、出だしは苦労した。「会社を辞めようと思った1年後にはスタートしようと思っていました。本当にゼロからのスタートで・・・。私は保険業界に長年いましたが、福祉事業は全く初めて。とりあえず半年間は無給状態で、福祉施設で学びました。」

 スタートするまで、ありとあらゆる事をしなければならない。事業計画、融資、人材採用、また、自身の経験のため、別の施設のプログラムも参考にさせてもらった。

 「幸い、保険業界時代の繋がりのある、経営者や税理士、医者などの様々な人たちに色々ご紹介いただき、事業計画や融資、人材採用など、いろいろな相談に乗ってくれました。『ひと』と『ひと』との繋がりは大事ですよ!」様々な人達の力を借りて「BowL」は2013年5月に設立した。

「病名にこだわらず、病状にこだわる。」

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 BowLの何よりの特徴は、うつ病に特化するという点だが、その特徴にも変化の過程があり、細やかなこだわりが反映されている。

 初めは、うつ病以外の患者は、病院からの紹介でも断っていたという。病院にも、うつ病だけに特化したいとしつこく伝えた。そのために利用者が数人しかいなかった。

 しかし、ある時期をきっかけに、病名にこだわらず病状にこだわろうと考えた。利用者の病状をパターン化し、うつ病の治療を適応すれば別の病名で診断されている利用者の治療にもなるかもしれない。こちらとしても対応できるパターンを学習していくことができる。BowLのスタンスが固まった。そこからBowLのコンセプトはさらに明確になっていった。

 「一番の支援者は家族です。BowLに見学に来る際、必ず家族の了承を得ています。家族もBowLと一緒にやっていこうと。誰か傍で支援してくれるほど有難いものはないですよ!」

 この「寄り添う」アプローチには、部下や友人が「うつ」になった際、誰か間に入って支援してくる人を望んでいた荷川取社長の経験が生かされている。

 また、BowLでは「利用者」の事を「研修生」とユニークな呼び方をしている。ある「研修生」の方がいうには、「『病院』に行くと『病人』の役に徹してしまう」との事。その研修生は、BowLでは、よく話すしよく笑う。メンタル不調の人とは思えないとの事。

 「病人であれば、外へ出て活動するのではなく、家でじっとしますよね?高熱が出ている場合とか、何をするにも辛くてただ家で一人でじっとしている。うつの人も同じなんです。」

 一人ぼっちでいると「自分の声」が自分自身を傷つけてしまうという。「みんな働いているのに、自分だけ家に居て何もしていない」と。それより誰か他の人と接する事で他人の声が良いフィードバックをもたらす。「良質な休養を取る」ことが「復職」への近道だと荷川取社長は笑顔で語った。

 

◎プロフィール
荷川取 佳樹 (にかどり よしき)
株式会社BowL 代表取締役CEO
大学卒業後、生命保険会社に勤務。20代で管理職昇格後、奄美・広島・横浜でマネジメントの武者修行の旅へ。以後、沖縄で数多くの営業パーソンの人材育成を手がける。友人のうつ病をきっかけに20年以上携わった保険業界から社会福祉事業に転身。

◎詳細
・公式サイト http://www.bowl.co.jp/
・Facebookページ https://www.facebook.com/ReworkStationBowL/

琉球ジャーナル urumee Inc. - 2016/03/15